研究課題/領域番号 |
25460787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
喜多 歳子 北海道情報大学, 医療情報学部, 教授 (30530266)
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研究分担者 |
佐々木 成子 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30448831)
池野 多美子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (80569715)
小銭 寿子 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90364281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 疫学調査 / 社会経済状態 / 子どもの発達 / 北海道スタディ |
研究概要 |
ここ十年ほどの間に社会格差が顕在化し、子どもの貧困が社会問題となっている。しかし日本では、親の社会経済状態と就学前の子どもの発達との関連を調べた研究は数少ない。そこで親の社会経済状態が幼児の発達に与える影響を調査し、その影響のメカニズムを明らかにすることが本研究の目的である。社会経済状態の指標は、世帯所得、親の教育歴や職業的地位が欧米ではよく用いられているが、その国の社会保障制度や文化的背景によって異なると考えられている。そこで、既存のデータから日本の子どもの発達に適合する社会経済指標を検討する。同時に既に実施されている「環境と子どもの健康北海道スタディ(北海道スタディ)」の出生コホートに新たに1歳6か月時と3歳時の発達調査を追加する。 平成25年度は、既に得られている北海道スタディ(札幌コホート)のデータを用いて、妊娠時の親の社会経済状態と42か月の子どもの知的発達と問題行動との関連を解析した。154組を解析した結果、親の世帯収入を300万円未満、300-500万円、500万円以上の3層に分けた時、所得が高い層で、子どもの知的発達テスト(K-ABC)平均点が高く、子どもの問題行動得点(CBCL)の平均点は低くかった。両親の教育歴は、知的発達、問題行動とは関連がみられなかった。 こどもの発達の格差はいつ頃から観察されるのか?知的発達の他に運動発達や社会性の発達に違いはあるのかを明らかにするため、北海道スタディ(大規模コホート)に参加している1歳6か月児を対象に発達調査を郵送法で開始した。調査項目は、子どもの発達(運動発達、言語発達、概念理解、社会性など)、母親のうつ状態、育児ストレス、育児環境で構成されている。 1歳6か月調査の参加者が3歳になる平成27年から3歳発達調査を行い、子どもの発達変化と親の社会経済状態を再評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画は、社会経済指標の検討と1歳調査の開始であった。 既存データから幼児の発達との関連が考えられる社会経済指標を絞り込むことができた。 既存の1歳調査は、調査項目が多くなっていることが判明したため、調査協力者の負担軽減と、子どもの発達評価指標が明確で誤分類の少ない1歳6か月時に発達調査の時期を変更した。研究計画書・調査票の作成と研究倫理審査の後、大規模コホートデータから対象者を抽出し、郵送法によるデータ収集を行っている。これまで632組に郵送し、25年度末までに397組から回答を得られた(回収率62.8%)。
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今後の研究の推進方策 |
1歳6か月の発達調査は、北海道スタディに参加している約900組の親子に郵送し5月で発送を終了する。回収したデータの入力と大規模データとの連結後、社会経済状態と1歳6か月児の発達との関連を解析する。その際、育児環境や家族関係等を考慮した解析も行う。 1歳調査から1歳6か月調査への変更に伴い、子どもの発達変化の評価期間を保つため、2歳調査を3歳調査に変更する。1歳6か月調査参加者が3歳に達した時点で、子どもの発達、問題行動、育児環境、親の社会経済状態の再評価を行う。 最終年度は、親の社会経済状態と子どもの発達変化との関連を解析する。また、社会経済状態に加えて、親の養育態度、育児環境を加えた発達影響の相対的評価を行う。 これまでと同様に、調査参加者の同意を得ること、回収した調査票は直ちにコード化し、個人が特定できない状態でデータセットの構築を行うことを厳守する。
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次年度の研究費の使用計画 |
回収した調査票のデータ入力を翌年度にまとめて行うことにしたため人件費・謝金を使用しなかった。 近地での学会発表により予定した旅費を使用しなかった。 平成25年度分と合わせたデータ入力に伴う人件費・謝金への支払い。 The 20th World Congress of Epidemiology(アンカレッジ、米国)に参加の予定のため、旅費の支出を予定している。
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