研究課題
2009~2015年の6年間に日本国内5カ所の小児科外来を受診した小児の便検体から下痢症起因ウイルスの検索し、流行ウイルス、その遺伝子型の変遷を調べた。11種類のウイルスを対象とした結果、73.1%でウイルスが検出された。ノロウイルスGII(43.9%)が最も多く、続いてA群ロタウイルス(18.9%)、ヒトパレコウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルスの順でノロウイルスGI、C群ロタウイルス、アイチウイルスの頻度は低く、B群ロタウイルスは未検出であった。ノロウイルス GIIではGII.4が主に流行株で、その中で変異株の変遷が見られた。Den_Haag_2006bからNew_Orleans_2009そして2012年からはSydney_2012に置き換わった。2015年からGII.17が増加しているが乳幼児ではGII.4と置き換わるまでは至らなかった。タイ・チェンマイの仔ブタ下痢検体から検出したA群ロタウイルス4株について、全11遺伝子分節を解析し、これまでのこの地方および世界の検出株と比較した。遺伝子型間、遺伝子型内での遺伝子再集合のあること、その一方で遺伝子分節によっては20年以上保存されていることがわかった。ピコルナウイルス科のコサウイルスを日本の乳幼児の検体から初めて検出し、その全塩基配列を報告した。また、ウイルス量の測定を行い、この患者ではこのウイルスが下痢の原因であることが推察された。さらにこのウイルスはこれまでヒトから主として検出されていたが、日本およびタイのブタからも検出し、人獣共通感染症であることを報告した。健康な日本及びタイのブタから検出した16株のアイチウイルスC(ピコルナウイルス科)の2B領域の遺伝子配列を調べ、すべて変異型であることを確認し、この地域で流行していること、変異型と病原性に関係のないことを示した。
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