研究課題/領域番号 |
25460793
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
東 朋美 金沢大学, 医学系, 助教 (20293342)
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研究分担者 |
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
福冨 友馬 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診断・治療薬開発研究室, 室長 (30463110)
藤村 政樹 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90190066)
西條 清史 金沢大学, 医学系, 教授 (00178469)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アレルギー / 黄砂 / PM2.5 / 臨床疫学 / 慢性咳嗽 |
研究概要 |
中国やモンゴルから飛来する黄砂の観測日が急増しており、黄砂が健康に影響を及ぼすのか社会的関心が高まっている。動物実験で黄砂がアレルギー症状を重症化させる作用が指摘されているが、人では実証されていない。本研究では、黄砂とアレルギー重症化の関連を明らかにする。本年度は、計画通り、患者疫学調査を実施した。調査期間は例年、黄砂が飛来する秋~春と、その前後を含む11月~翌年6月までとし、対象は金沢大学附属病院および関連病院の呼吸器内科、耳鼻咽喉科外来に定期的に来院している気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、通年性鼻アレルギー、季節性鼻アレルギー、好酸球性副鼻腔炎、鼻茸、いずれかの診断を受けた患者とした。調査参加の同意を得た方に、アレルギー日記に毎日の症状の記録を依頼した。黄砂飛散量は、レーザー光線を利用した観測装置(ライダー)で上空の黄砂と黄砂以外の粒子状物質を区別した観測結果をもとに、地上付近の黄砂の濃度を推計したものを使用した(国立環境研究所の杉本伸夫氏よりデータ提供)。 同時に、金沢大学附属病院屋上で大気粉塵を捕集し成分を分析した。ハイボリウムサンプラで毎日24時間ごとの大気中粉塵を捕集し、多環芳香族炭化水素類(PAHs)と重金属類をHPLC、原子吸光法によってそれぞれ定量した。毎日のスギ、ヒノキ、イネ花粉量をダーラム法により測定した。一方で、過去の患者調査データを集計し、個人ごとの黄砂期間と非黄砂期間の症状比較により、慢性咳嗽患者において咳や眼のかゆみなどのアレルギー症状が、黄砂期間特異的に有意に認められることを報告した(Higashi et al. Atmospheric Environment in press)。この結果を踏まえて、引き続き今後の調査と解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に多くの関連病院を含む施設において、患者疫学調査を実施することができた。アレルギー日記の継続的な記録には、患者さんと担当医の協力が不可欠であるが、そのための協力体制を築くことができている。また、関連病院の調査において、各担当者との連携体制を築くことができた。大気粉塵の捕集も計画通り進んでいる。今年度は、大きな黄砂イベントが見られなかったため、顕著な結果が出ない可能性もあるが、次年度以降の結果と合わせて検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
上記の患者調査体制と、黄砂とアレルギー症状に関して見出した知見をもとに、引き続き患者疫学調査を実施する。今後は黄砂以外の環境要因の影響や、疾患ごとの影響の度合いについての詳細な解析を予定しているが、そのためには調査人数を増やすことが必要なため、協力医療機関と担当医を増やして、調査規模を拡大していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
患者調査に関わる物品費の使用を予定より抑えることができたため。 引き続き行っている患者調査について、対象医療機関と調査人数を拡大しているので、その物品費に使用する計画である。
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