研究課題/領域番号 |
25460804
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡本 威明 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (20398431)
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研究分担者 |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 教授 (00263963)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 食品衛生 / サプリメント / 好酸球増多筋痛症 / 炎症 |
研究実績の概要 |
トリプトファンサプリメント事故品摂取による好酸球増多筋痛症候群 (EMS)発症の原因物質の一つとして、不純物 3-phenylamino-L-alanine(PAA) が知られている。これまでの研究において、ヒト好酸球に不純物 PAA を曝露す ると、IL-8 に対する遊走活性が惹起されることを報告してきた。本来、正常好酸 球は走化性因子 Eotaxin に対して、好中球は走化性因子 IL-8 に対して感受性 を示す。そこで本研究では、ヒト好酸球および好中球における各種ケモカインレ セプター(IL-8 レセプター:CXCR2 および Eotaxin レセプター:CCR3)の発現レ ベルに及ぼす不純物 PAA の影響を検討し、ヒト好酸球における走化性の制御 機構の解明を目的とした。その結果、ヒト好酸球に不純物 PAA を 6 時間曝露し、各種ケモカインレセプターの 発現レベルに関して検討を行った。その結果、PAA 濃度依存的にヒト好酸球に おける CXCR2 レセプターの発現は増大し、CCR3 レセプターの発現は抑制傾 向を示した。一方、ヒト好中球に対して同様に検討を行ったところ、どちらのレセ プター発現においても変化はみられなかった。PAA 曝露により、ヒト好酸球の表 面マーカーである CCR3 レセプターの発現が抑制され、本来ヒト好酸球に高発 現していないはずの CXCR2 レセプターの発現が増大したことから、好酸球本来 の性質が部分的に失われ、好中球の性質を獲得したと推察された。したがって、 トリプトファンサプリメント事故品摂取により増加した好酸球が、不純物 PAA によ って好中球化し、炎症部位に多量に産生される IL-8 に対する感受性が高まっ たことにより、EMS 発症を誘起させたのではないかと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に研究が進展しているが、最終年度における成果報告が重要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、トリプトファン事故品中に含まれる不純物代謝産物においても深く検討することが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が低額であり、研究消耗品を購入するには難しい面もあるため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度予算と合算して使用予定である。
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