研究課題/領域番号 |
25460813
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
北島 勉 杏林大学, 総合政策学部, 教授 (10234254)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | HIV / 抗HIV多剤併用療法 / DCE / タイ / 患者の選好 |
研究実績の概要 |
研究実施施設であるタイのコンケン病院において、抗HIV多剤併用療法(Antiretroviral therapy、以下ART)を受けている患者を対象に、ARTを利用する医療施設について、彼らが重要であると感じている内容について調査を行った。任意で抽出した対象者15人にin-depth interviewを行った。また、別の15人を抽出し、3グループに分けてフォーカスグループディスカッションを行った。その結果、ARTを提供する独立したスペースがあること、通常の診療時間以外にも診療を受けられること、待ち時間が短いこと、専門医がいることなどが重要な要因として抽出された。 この結果をもとに、ARTを利用している患者の医療施設に対する選好を調べるための質問票の作成を行った。質問票は、コンケン病院と市内の診療所ごとに、「ART利用者用の独立スペースの有無」、「時間外診療の有無」、「待ち時間」、「患者自己負担の金額」の4つの項目が異なる状況を示した12の組み合わせからなる。対象者は、項目の内容を見て、コンケン病院と市内の診療所のどちらでARTを利用したいと思うかを回答してもらう形式をとっている。この質問票の第1回目のプレテストを、ART利用者5人を対象に行い、対象者が質問票の内容を理解し、コンケン病院と市内の診療所のどちらかを選択できるか否かを確認した。その上で、ART利用者40人を対象に第2回目のプレテストを行い、データ収集の方法、データ入力及び統計処理に関する問題点の洗い出しを行った。その結果、質問票の項目に新たに「専門医か否か」という項目を加えることになり、加筆修正された質問票を使い第3回目のプレテストを35名を対象に行い、質問票の理解度の確認、統計分析を行った。その結果、この質問票をもとに本調査を実施することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者の選好を測定するための質問票を作成するために、プレテストを2回実施し、本調査を開始する計画であったが、2回目のプレテスト実施の後に質問票の修正をすることとなり、3回目のプレテストを実施することになった。そのため、本調査を実施する時期が遅くなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、本調査を実施しており、7月には本調査の対象者360人の面接調査が終了する予定である。その後、データ分析を行い、患者がARTを利用する施設が備えるべき重要な要件を特定する。そして、それらの要件を市内の診療所に導入することは可能か否か、可能な場合にはどのくらいの費用がかかるのかを推計し、ART患者を病院から市内の診療所に紹介し、ARTを継続して利用してもらうことの実施可能性について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本調査の実施が遅れ、研究協力者や調査対象者への謝金を支出しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本調査を実施するために研究協力者や調査対象者への謝金として使用する。
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