研究課題/領域番号 |
25460815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
須賀 万智 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30339858)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自殺死亡 / 地域特性 / マルチレベル分析 |
研究概要 |
1.自殺死亡率は地域差が大きく、地域特性が自殺死亡に文脈として作用している可能性がある。「自殺対策のための自殺死亡の地域統計2009年版」からえた平成20年3月末現在の二次医療圏354圏域の2003~2007年の5年平均の男性自殺死亡率について、二次医療圏-都道府県-地方のマルチレベル分析(ランダム切片モデル)を行い、各レベルの変量効果を調べた結果、都道府県レベルと地方レベルに有意な効果(Variance Partition Coefficient 都道府県18.6%、地方29.8%)を認め、高リスクは東北地方、青森県、新潟県、福岡県、低リスクは徳島県であった。高・低リスクな文脈効果を認めた地域には、自殺死亡の発生原因に係る特性やseeking help行動に係る特性が存在すると考えられた。 2.アンケート調査を計画するにあたり、seeking helpに関する文献レビューを実施した。seeking helpに関わる要因として、健康状態、社会経済的背景、経験、態度、規範意識、スティグマ、ヘルスリテラシー、ソーシャルキャピタルなどが挙げられた。しかし、ほとんどが海外のエビデンスであり、環境や文化が異なる日本にも適用しうるかはわからない。また、これら要因を網羅的に測定して、要因間の関係性やseeking helpに至る経路を明らかにした研究は報告されていなかった。seeking help促進に効果的な介入を考えるには、日本の一般市民のseeking helpについて、系統だった調査を行い、seeking helpに至る経路とそれに影響する要因を解明する必要があることをあらためて確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自殺死亡率の地域差に関するマルチレベル分析から、地域特性が自殺死亡に文脈効果をもたらしていることが明らかになった。また、学会等で研究者と意見交換を行う中で、自殺死亡に至る経路は単純にまとめられず、seeking help行動は、精神的不調以外にも、さまざまな状況において必要になると考えられた。アンケート調査を計画するにあたり、seeking helpに関する文献レビューを実施したが、検索の対象を当初より拡大したため、作業に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査の準備作業を進め、実際に調査を実施する。調査対象はインターネット調査会社の登録モニターの20~60歳男女2000名(学生、医療関係者を除く)である。日本の一般市民のseeking helpを促進する要因を明らかにするため、調査時点のseeking help行動、各種問題状況下におけるseeking help意図をアウトカムとして、健康状態、社会経済的背景、経験、態度、規範意識、スティグマ、ヘルスリテラシー、ソーシャルキャピタルなどとの関係を分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケート調査の準備作業が予定した時期までに終わらず、調査実施が次年度にずれこんだ。 アンケート調査は、次年度早々に実施し、6月中には完了する予定である。
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