対象自治体に在住する65歳から84歳までの住民7458人を対象に第2回目調査を実施した。有効回答数は4885人で、回収率は63%であった。
以下、今年度の調査結果の概要について記す。介護の必要度に関する質問については、介護を必要ない(82%)、必要だが受けていない(5.3%),介護を受けている(9%)であった。独居率は、介護が必要だが受けていないと回答した者では31%で、介護を必要としない者および介護を受けているものと比べても、独居率が高かった。また、経済的状況に関する質問で苦しいと回答した者の割合は、必要だが受けていない者では28%と最も高かった。さらに、「毎日の生活に充実感がないと感じる」などの高齢者の抑うつに関する質問項目に関しては、介護を必要だが受けていない者は、介護を受けているものとほぼ同じ割合で高い値を示した。一方で、日常生活動作に関する質問項目に関しては、介護を必要だが受けていないと回答したものは、介護を必要ないと回答した者に近い割合を示した。
これらのことから、介護を必要だが受けていない群は、高齢者が日常生活が自立出来ている常態から、要介護状態への変遷過程を反映している可能性があり、前年度に報告した要介護状態に至る変遷過程において、社会性、精神的健康度、ADL動作が阻害されている状況と一致する。パネルデータの蓄積が得られたことから、来年度より、パネルデータによる実証分析を進めていく予定である。
|