研究課題/領域番号 |
25460832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
左近 直美 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 主任研究員 (50291216)
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研究分担者 |
上林 大起 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (50622560)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ノロウイルス / 遺伝子型 / 変異 / 流行 |
研究概要 |
ノロウイルスの流行における変異と遺伝子型の変化について基礎調査として、過去10年間にわたる大阪府における流行について解析した。その結果、小児における集団胃腸炎では遺伝子型が流行シーズンごとに替わることが明らかとなった。また、同一遺伝子型GII.4の再感染例はvariant株への再感染であった。世界的にGII.4の流行が繰返されることは、同一個体における再感染にみられたように遺伝子変異が大きく関与していることが示された(投稿中)。そこで、ノロウイルス変異がどのように出現しているのか解析するため、ノロウイルス全長のクローニングとクローン由来RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)による遺伝子変異の出現率を測定することとした。全長のクローニングは現在、GII.4株の5’末端側2,431bpと2,185~5,380bpおよび3’末端側約2,800bpの全長をカバーする断片を作製した段階である。また、実際の流行における個体レベルでの変異の出現について、調理人を発端とした(同一汚染)食中毒事例における患者便を用いた。バックグラウンドとして塩基配列の読み取りエラーの基礎的な出現について300p程度をクローニングしたクローンのPCR合成産物の解析を実施した。全ての変異が次世代シーケンサーのエラー範囲であり、これらの数値を実検体の解析に用いることが可能と考えられた。RT-PCRにて合成した3'末端2,600bpについて変異の出現解析を実施中である。GII.4以外の複数の遺伝子型由来事例について順次合成を実施している。これらの合成については、RNA抽出法を土壌用RNA 回収キットに変更したことで可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノロウイルスは患者便中に1億個程度のコピー数が算出されているため、全長クローニングおよび個体内変異のための長鎖合成は比較的容易であると想定した。しかし、便由来である検体からはうまく合成出来なかった。そこで、合成の前処理の検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
個体レベルにおける遺伝子変異の検出について、長鎖合成では検体の差もあった。実際の事例において30%程度の検体で合成が可能であったので、GI, GII.2, GII.3,GII.4, GII.6の5遺伝子型を原因とした事例について3検体を解析出来るよう、合成および解析を実施する。全長については本年度作製した断片を用いてGII.4全長を作製し、クローニングを行う。同様にGII.4以外の遺伝子型の全長作製を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
全長クローニングが完成しなかったため、その必要経費が繰り越された。 2種類の遺伝子型の全長合成を行い、クローニングを実施する。また、クローンによって作製されるRNA依存性RNAポリメラーゼの転写活性および変異率について算出する。
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