研究課題/領域番号 |
25460837
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
藤田 伸輔 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20268551)
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研究分担者 |
小林 美亜 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00327660)
宮本 正喜 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50200209)
高林 克日己 千葉大学, 医学部附属病院, 教授 (90188079) [辞退]
土井 俊祐 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90639072)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DPC / 標準化 / 適正化 / 経過予測 |
研究実績の概要 |
1年目:DPCのレセプトファイルからデータを吸い上げデータキューブを作る基盤を構築した。 2年目:対象は、特定機能病院の保険請求対象の患者とし、治験、高度先進、移植手術などの出来高請求の患者、分娩などの自費診療、労災、自賠責保険の対象患者は除外した。対象者データの抽出期間は、2014年4月1日~2015年2月28日までに退院した患者とした(2014年4月に退院していれば、2014年4月1日以前に入院した症例も含む)。 本分析では、DPC14桁の各DPC名の症例数を抽出し、DPC14桁の各DPCの在院日数を様式1の入院日、退院日より算出した。在院日数は、実日数(入院日から退院日までの合計在院日数)とし、DPC対象外病棟にいた日数もカウントした。手術症例で50症例以上あるDPC14桁を分析し、抗菌薬の種類や投与日数別に在院日数の分布を把握した。 3年目:抗菌薬の投与日数分布については他の医療資源投入に比して過剰と思われるものが抽出されたため、千葉大学医学部附属病院感染制御部の協力を得て抗生剤の適切使用についての院内啓発、パスの改訂に取り組んだ。院内啓発についてはこれまでも講演や薬剤部からの情報提供などを行っていたが、本研究の成果を適用してどのような使用法が問題となるのかを具体的に示したことと問題症例の検出を明示したことで効率的に取り組むことができた。さらに2015年に退院した患者のデータを加えてデータ解析を行い、その効果が着実に表れていることを確認した。画像診断について診療期とはずれた実施を抽出したところ病態回復標準コースからの遅滞が認められた。合併症の鑑別としての検査計画にはCTや超音波検査を優先すべき病態など、一部最適とは言えないものが含まれていた。このような判断は専門医取得以前の医師には困難であるばかりか、専門医であっても他領域専門医のアドバイスを必要とすると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までの研究成果に対して千葉大病院での実践を強く求められた。研究成果を実証することは研究にとって重要なことと考えて、他院データの追加収集と解析に先立って実証研究に注力した。抗菌剤の適正利用や診療科間の連携については情報システムからの理論ではなく、病院診療管理の実践者から医療者に対して教育を図ることが必要であった。このため抗生剤の適正使用については感染症制御部による計3回のセミナーを開催し、パスの見直しが進み始めたところである。診療科間連携については安全管理部からのセミナーを平成28年5月に実施する予定となった。
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今後の研究の推進方策 |
本結果を活用し、診療プロセス管理するための電子システムに組み込むことを検討する。そのために既に千葉大病院において各診療科に対して年間10例以上の経験がある診療に対してパスの点検と未作成の場合の作成を依頼し、本研究の成果と照合することで適切なパスを作成できるかを9月までに検証できるようにスケジュールを立てた。抗生剤適正使用についてのセミナーを通して、実データを整理して提示し、最新臨床治験と組み合わせて説明する手法を確立したので、平成28年度は他院データを加えて分析してPDCAサイクルによる持続的推進システムとして研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の成果に対して千葉大病院内での適用を強く求められ、他院のデータの処理が遅れた。研究期間中に使用していたPCをWindows10に切り替えたところ起動不能状態となり、メーカー修理を依頼し、代用のパソコンを購入した。修理後に新規購入PCと合わせてクラウドを構成したことで他院のデータを受け入れることが可能となったため、投資予定が大幅に縮小した。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに構築したクラウドで分析を完了できるかを検証したうえで、必要な場合に設備投資を再検討するが、主たる使途は研究成果の取りまとめ、発表に回したい。
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