研究計画調書に基づき、引き続き支持的antimicrobial stewardship(ASP)を実施継続し、2015年4月から最終パターンによる書き込み介入を行った。11月から2016年4月まではfollow up期間として、書き込み介入は行わずデータ収集のみを行い、10月末にデータ収集も終了した。 書き込み介入を行った診療科ごとに、多剤耐性菌の新規検出件数、入院診療稼働額を月ごとに集計しグラフ化した。書き込み介入の実施にあたっては感染管理対策システムからプリントアウトした患者リストを用い、記録を残して後ろ向きに確認可能とした。その結果、書き込みパターンを変更した直後の月で、耐性菌検出がわずかに落ち込む傾向が認められた。特に、書き込み介入が多い診療科で大きく変動する傾向があり、単純なカルテへの書き込みのみによっても多剤耐性菌検出に影響を与えうる可能性が示唆された。すなわち、軽微であっても新たな試みを行うことは感染制御活動における注意喚起としての効果は期待できると推測された。しかしながら長期的効果には乏しく、随時新たな取り組みを行うことこそが有効と思われた。以上の結果と考察について、日本環境感染学会総会で発表し議論を行った。本研究実施に際して協力を行う病院感染制御部員も同学会に参加し、議論内容の聴取や情報収集を行った。また、日本感染症学会東日本地方会総会ではデータの公開は行わなかったが、他の参加者との議論や類似研究内容を調査することにより、本研究実施のための情報取集を行った。
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