研究実績の概要 |
これまでの研究結果は、「米本倉基.東日本大震災後の経験が被災医師と看護師の離・転職意識に与えた影響-病院における災害リテンション・マネジメントへの知見-,日本医療経営学会雑誌Vol.9,№1,pp13‐19,2015,査読有」と「米本倉基.真野俊樹,福島原発事故が被災看護師の仕事と家庭に与えた影響に関する質的研究,日本医療マネジメント学会雑誌,Vol.16,№3,2015,査読有」の2つの論文で発表した。さらに、最終年度である平成27年度には、看護師における大規模災害時の組織的ストレス緩和策が、その後の離職防止に対する有効性について実証することを目的とした調査研究を行った。方法は、平野(2013)による大規模災害時の組織的ストレス緩和策尺度を用い、東日本大震災で被災した看護師200名を対象としたWEBアンケート調査とした。調査の結果、被災後に離職した経験のある看護師は、災害時に組織的ストレス緩和策が少ない職場環境にあった傾向が確認され、災害時の組織的ストレス緩和策は看護師の離職防止に有効であることが実証された。特に、明確な職務と肯定的なフィードバックによる組織的介入行動が離職防止に重要であることが示唆された。また、病院組織における大規模災害時に備えた医療スタッフの心の防御訓練の必要性を指摘した。これらの結果は研究最終報告書としてまとめた。
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