研究課題/領域番号 |
25460864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
植木 美鈴 福井大学, 医学部, 助手 (00165656)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 個人識別 / 年齢推定 / 転写抑制因子 / RhitH / DNase I / 非同義置換型 / SNP / 遺伝子型―活性相関 |
研究概要 |
1.従前の研究で同定したヒト年齢依存性転写抑制因子regulator of heat-induced transcription (RhitH)について、その生理的役割を解明するため、RhitH遺伝子内の非同義置換型SNPに着目した。特に、遺伝子発現抑制に直接関与するKRABおよびzinc fingerドメイン内に座位する非同義置換型SNP(9座位)について集団遺伝学的解析を行った。各SNPの遺伝子型を判定するため、新規なPCR-RFLP法を確立した。本判定法によって、3大人種を含む異なる14集団における遺伝子型分布を調べたところ、すべてmono-allelicな分布を示した。従って、各SNPのminor allele frequencyは0.0003以下と算定され、これら非同義置換型SNPについてRhitH遺伝子の遺伝的多様性は極めて低いことが明らかとなった。 2.RhitHは年齢依存性生体分子M-LPH遺伝子の転写制御に関与する。M-LPH遺伝子イントロン1内にRhitHが結合し、もってその転写を抑制することが明らかとなった。 3.9座位の非同義置換型SNPについて、対応するアミノ酸置換によるM-LPH発現抑制への効果について検討した。それぞれのアミノ酸置換型RhitHを細胞に導入したところ、zinc fingerドメイン内のp.Cys461Serなどが発現抑制効果を減弱させ、もってM-LPH産生量の増加をもたらした。これらのfunctional SNPsはmono-allellicな分布を示したことから、ヒト集団内ではRhitHの活性が保持されていることが明らかとなった。 4.年齢依存的に活性変動するDNase Iについて、その病態生理学的役割を解明する一環として、SNP databaseに登録されている全ての非同義置換型 SNPの遺伝子型―活性相関を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由から、「おおむね順調に進展している」と判断した. ①本研究の遂行によって、関連研究を含めその成果を7報の査読ある欧文学術雑誌に公表した。 ②ヒト年齢依存的転写抑制因子RhitHについて、その生理的役割を解明する一助となる、非同義置換型SNPの遺伝子型―活性相関を含め遺伝的基盤が確立できた。 ③年齢依存的変動を示すDNase familyについて、その病態遺伝学的関与を解明する一助となる遺伝学的基盤が確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
①M-LHPの生理的機能を解明するため、アポトーシスへの関与や相互作用分子の同定など細胞生物学的解析を行うこととしている。 ②本年度に作成したRhit遺伝子改変マウスを用い、遺伝子発現解析などによってRhitの標的遺伝子を明らかにすることとしている。 ③M-LPH遺伝子について、本年度解明したRhit遺伝子と同様に、集団遺伝学的解析および遺伝子型―活性相関解析を行うこととしている。 ④年齢推定マーカーとなる新規な年齢依存性生体分子や遺伝子を同定するためには異なる年齢層の試料が不可欠であり、前年度に続き連携研究者に採取を依頼し、収集を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究用試薬など消耗品を購入する際「キャンペーン」時に購入するなど工夫したため、当初計上していた物品費が予定額より若干少ない金額で研究を遂行できた。このため次年度使用額が生じた。 残額は本年度要求する研究費の物品費に合わせ、平成26年度計画の研究遂行に使用する。
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