研究課題
1.従前の研究で見出した年齢依存性生体分子Mpv17-like proteinの転写に関与する転写抑制因子として同定したRhitについて、2週齢及び12月齢遺伝子改変マウス由来腎及び精巣における遺伝子発現をmicroarray法によって網羅的に解析したところ、wild-typeマウスに比較して、顕著な発現上昇または降下を示す遺伝子は認められなかった。従ってRhitの機能は他の転写抑制因子によって補完されていることが示唆された。2.該当者を絞り込むマーカーとして外見・身体所見―関連遺伝子の開発を継続した。昨年度、身長との相関が示唆されているcopy number variation (CNV)多型を解析するための新規なCNV解析法を開発した。①LTBP1及びETV-6遺伝子に着目し、本法を利用して日本人集団について身長との相関を解析したところ、両者とも有意な相関は認められなかった。従って、日本人集団ではこれらCNVは身長推定のマーカーとならないことが示唆された。②年齢依存性を示すDNase I遺伝子内の非同義置換型SNP(rs105374)について身長相関を解析したところ有意な相関は認められず、さらに他民族において身長相関が報告されたgrowth hormone receptor遺伝子内SNP(rs6180)は身長との相関は見られないものの心重量や腎重量などと相関していることが明らかとなった。3.年齢依存的に活性変動するDNase IとともにDNase familyに属するDNase II遺伝子の活性減弱・消失が自己免疫疾患発症に関与する。そこで、それぞれに座位する全非同義置換型 SNP(61及び35座位)を解析したところ、9及び5座位のloss-of-function 型SNPが同定され、従って、これらは自己免疫疾患の遺伝的リスクファクターとなるものと考えられた。
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