研究課題/領域番号 |
25460869
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
劉 金耀 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60379956)
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研究分担者 |
藤宮 龍也 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50219044)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルコール医学 / 動脈硬化性プラーク不安定化 / 慢性心理ストレス / 交感神経活性化 |
研究概要 |
1.研究の意義:動脈硬化症におけるアルコールが動脈硬化進行にもたらす影響を確認し,アルコール・心理ストレスによるプラーク不安定化機転としての交感神経活性化の役割を解明する基礎研究である。 2.研究の内容:①アルコール慢性消費が動脈硬化進行にもたらす影響を確認するために、13週令雄マウス(C57BL/j)45匹を3群に分けて16週間飼育した。動脈硬化危険因子である血中総コレステロールと動脈硬化の程度を反映する内膜中膜複合体を測定した。腹部大動脈組織を用いて動脈硬化関連因子(CD34(炎症反応と関連する単球のマーカー)とMCP-1(単球の遊走をきたすサイトカイン))の遺伝子発現量を確認した。②プラークの不安定化因子を選出するために、10匹の動脈硬化モデルマウス(apolipoprotein E (Apoe)とlow-density lipoprotein receptor (Ldlr) double knockout mice (Apoe・Ldlrダブルノックアウトマウス))と10匹のC57BL/jを7ヶ月間かけて観察中である(2014年11月中完了予定)。③心理ストレスによるプラークの不安定化に関わるメカニズムを解明するために、Apoe・Ldlrダブルノックアウトマウスを安定に繁殖させながら雄Apoe・Ldlrダブルノックアウトマウス6匹を実験中である。 3.研究の結果:アルコール慢性消費によって、血中総コレステロールの上昇,IMTの増大,MCP-1とCD34遺伝子発現量の増加が引き起こされた。 4.研究の重要性:過剰な飲酒は高脂血症および動脈硬化を増悪させる可能性が示唆された。アルコールによるMCP-1の過剰発現が単球の内皮細胞へ接着,動脈壁への侵入を促進すること、また単球の動脈壁への侵入が内膜肥厚の引き金であることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルコール・心理ストレスによる動脈硬化の増悪およびプラーク不安定化の転機に関する研究目的について研究計画に準じて研究を実行した。研究結果として「マウスにおける低炭水化物・高タンパク質食とアルコールの動脈硬化進展への影響」を学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成26年度)に研究計画に準じて実験動物の数を増やし、①心電図をモニタ-しながら心理ストレス負荷試験を行う。②腹部大動脈を利用し,組織細胞生物学的に動脈硬化の進展およびプラークの安定性を調べる。③血液および腹部大動脈組織を利用し,全身および腹部大動脈の交感神経活性化、動脈硬化プラーク不安定化・炎症反応・心筋ストレス・心筋障害・blood-brain障壁機能障害関連因子の変動を検討する。
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