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2013 年度 実施状況報告書

溺死の診断のためのLAMP法を用いた簡易迅速スクリーニング検査法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25460871
研究種目

基盤研究(C)

研究機関宮崎大学

研究代表者

柿崎 英二  宮崎大学, 医学部, 助教 (70284833)

研究分担者 湯川 修弘  宮崎大学, 医学部, 教授 (30240154)
酒井 正博  宮崎大学, 農学部, 教授 (20178536)
小澤 周二  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20379944)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード法医学 / 溺死 / 水棲微生物 / プランクトン / LAMP法
研究概要

溺死の診断において,水由来の微生物(珪藻類)を,肺や血液,腎臓や肝臓などから検出できれば,生前に水を吸引した可能性が高くなる.しかし,すべての水中死体に対して,時間と労力のかかる従来の珪藻検査を行うことは容易ではない.そこで,補助診断として,簡易に行える溺死のスクリーニングテストを実施し迅速に判定できれば,より効率的に対応できると考えた.
水中から発見される死体の状態は,現場環境や水温,死後経過時間等によって,大きく異なり,検査試料中に存在する微生物の種類や数も多様である.このため,特異性の高いプライマーセットを設計することが本法にとって特に重要である.そこで,まず特異性を詳細に検討するために,海水及び淡水環境等から,対照としてBacillus属,Halomonas属,Marionomas属,Pantoea属,Pseudoalteromonas属,Psychrobacter属,Serratia属,Lactococcus属,Enterobacter属,Carnobacterrium属,Staphyrococcus属などの多様な細菌のGenomic DNAを得た(16S rRNA遺伝子を指標に同定).次いで,市販の標準菌株からVibrio属,Photobacterium属, Escherichia属,Listonella属,Pseudomonas属,Citrobacter属,Enterococcus属,Proteus属,Shewanella属,Aeromonas属のGenomic DNAを抽出・精製した.続いて,日本DNAデータバンク(DDBJ)から指標とする細菌遺伝子(small subunit rRNA, gyrase subunit B, DNA-dependent RNA polymerase, etc.)の塩基配列情報を収集し,GENETYX-MAC (Ver. 15.0)を用いてアライメント解析を行い,淡水及び海水溺死を識別可能なプライマー配列を検討・設計した.また,同時にPrimer Explorer (Ver.4.0)を用いてプライマー配列を設計した.現在,これまでに設計した様々なプライマーセットの有効性を検討中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の目的は,解剖室でも実施可能な簡便かつ迅速な溺死のスクリーニング検査法を開発することであり,検査の方法は可能な限りシンプルでなければならない.そこで,指標とする細菌の対象は,種レベルではなく,多数の種を一度に検出可能な属ないし科レベルであることが望ましい.そこでまず淡水指標としてAeromomas属,海水指標としてVibrio属及びPhotobacterium属の2つのタイプを検出可能なプライマーセットを設計することを目標とした.しかし,属ないし科レベルで共通するプライマー配列を設計し,さらに実際に他の細菌種に対して交差性を有しない配列を決定するのは非常に困難であり,解析・設計・検討に予想以上に多くの時間を要した.また,当研究施設において,耐震補強工事のため,25年度は2度にわたり,研究室の移転(仮移転・本移転)が実施され,その準備や移設,セットアップ,トラブル対応に多くの時間を費やした.これらの理由から本年度はやや遅れを生じたが,より信頼性の高い検査法を確立するためには,十分な検討が必要であり,また本年度の遅れは次年度へさほど影響しないと考えている.

今後の研究の推進方策

今後はまずLAMP法のための最適なプライマーセットを完成させるために,特異性や検出感度を引き続き検討していく.淡水溺死の指標としてAeromonas属,海水溺死の指標として,Vibrio属及びPhotobacterium属,さらに進捗状況によって,植物プランクトンを検出するための葉緑素遺伝子を指標としたプライマーセットも検討し決定したい.

次年度の研究費の使用計画

前記したように,研究の進捗状況に若干の遅れが生じたために, プライマー合成及びLAMP法に必要な試薬等の費用が一部未使用となったため.
26年度において,LAMP法のための最適なプライマーセットを決定するために,プライマー合成やLAMP法を繰り返し試みる必要があることから,これらの消耗品に未使用の予算を充てる.

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公開日: 2015-05-28  

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