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2013 年度 実施状況報告書

メソミル代謝物の追求―臭い成分を中心として―

研究課題

研究課題/領域番号 25460873
研究種目

基盤研究(C)

研究機関琉球大学

研究代表者

福家 千昭  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60173374)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードメソミル / ジメチルジスルフィド / ガスクロマトグラフ質量分析計 / ヘッドスペース分析法
研究概要

メソミルとブタ肝臓ホモジネートを密栓をしたバイアルに入れ,十分に混合し,37℃で1時間加温後バイアル中の気相をガスクロマトグラフ質量分析計に注入したところ,ジメチルジスルフィドが検出された.Methomyl-d3 (S-CD3-N-(methylcarbamoyloxy) thioacetimidate)を用いて同様に処理したところ,メチル基のすべての水素が重水素に置換されたジメチルジスルフィドが検出された.以上の結果より,メソミルとブタ肝臓ホモジネートを混合し,加温することによって発生してきたジメチルジスルフィドはメソミル由来であることが確認された.また,発生のメカニズムは,メソミルが加水分解されオキシム体となり,さらに分解されメチルスルフィドとなったものが重合して2量体となり,ジメチルジスルフィドを形成したものと判断された.この事実はこれまでに報告はなく,世界で初めての事実確認である.
ジメチルジスルフィドは,ブタ肝臓のみならず,腎臓からも発生してきたが,ブタ筋肉,ヒト血液からは発生が認められなかった.以上の結果より,ブタ肝臓,腎臓中に存在する酵素によりメソミルは分解されるものと判断される.また,ブタ肝臓を膜成分画分,核画分,ミトコンドリア画分,可溶性画分の4画分に分画し,同様にメソミルと混合してジメチルジスルフィドの産生を確認したところ,可溶性画分に活性が認められ,他の画分からはジメチルジスルフィドの発生は認められなかった.以上の結果より,メソミルを分解する酵素は,可溶性画分に存在することが確認された.
肝臓ホモジネートを用いてジメチルジスルフィドの添加回収実験を行ったところ,継時的にジメチルジスルフィド濃度が減少することが確認され,正確な定量値を算出することが困難なことが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メソミルとブタ肝臓ホモジネート混合することにより,ジメチルジスルフィドが検出された.この化合物はガスクロマトグラフ質量分析計にて分析し,標準物質と比較することによりジメチルジスルフィドと確認できた.この結果よりメソミル中毒例において分析用検体から発せられる臭気はメソミルの分解に由来することが判明した.
ジメチルジスルフィドは,ブタ肝臓のみならず,腎臓からも発生してきたが,ブタ筋肉,ヒト血液からは発生が認められなかった.

今後の研究の推進方策

メソミルからジメチルジスルフィドに変換されるメカニズムを解明するために,メソミルを代謝する酵素の検索を行う.予想される酵素はカルバミン酸加水分解酵素であるが,細菌より同定されたとする報告はあるが,哺乳類から抽出精製同定されたとする報告が検索されない.そこで,ブタ肝臓よりメソミルを分解する酵素を検索する.さらに,腸内細菌の影響を観察するために,メソミルを分解する腸内細菌の検索を行う.
また,ジメチルジスルフィドの発生が,メソミル独特なものか否かを確認するために類似化合物のメソミルオキシムやオキサミルなどについてジメチルジスルフィドの発生の確認を行うとともに,その他の農薬や薬毒物について検討を行う.

次年度の研究費の使用計画

予算を有効的に使用するために,年度内に予算額を全額使用するということをあえて行わず,次年度使用することとした.
ガスクロマトグラフ用キャピラリーカラムやカラスインサート,前処理用のチューブや有機溶媒の購入に充てる.

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公開日: 2015-05-28  

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