ブタ肝臓ホモジネート,腎臓ホモジネートとメソミルを混合しインキュベーションしたところジメチルジスルフィドの発生を認め,ジメチルジスルフィドはメソミルの代謝物であることが明らかとなった.さらに,ヒト糞便より培養,単離され同定された菌のうちBacillus cereusにメソミルを分解しジメチルジスルフィドを産生する能力を有することが明らかとなった. 以上のことより,メソミル中毒死例における血液からのメソミル不検出の原因は,死後,Bacillus cereusが血液中に拡散し増殖することによりメソミルを分解することによるものと判明した.また,解剖時採取した臓器・組織試料よりイオウを含む揮発性の化合物の臭いがする原因は,酵素によるメソミルの分解とBacillus cereusの作用によるメソミルの分解により,ジメチルジスルフィドが発生することによると解明された.
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