メソミル中毒死例の剖検試料をGC/MSにて分析したところジメチルジスルフィド(DMDS)を検出した.DMDSは独特の臭気を有する有機硫黄化合物であるが,メソミルと関連付ける報告は見当たらない.そこでメソミルが分解することによりDMDSが産生されることを証明するために実験を行った.新鮮なブタ肝臓をホモジナイズし,メソミルと混合した後37℃で加温した.結果,メソミル濃度は継時的に減少し,DMDS濃度は増加するという結果が得られた.以上の結果より,DMDSはメソミルが分解することにより産生されることが明らかとなり,DMDSの特徴的な臭いが剖検試料からしてきた場合,メソミル中毒の疑いがあるといえる.
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