日本在住者747名につき,X染色体上の短鎖縦列反復配列(X-STR)27座位のデータを収集し,多型指標および連鎖不平衡の状態につき検討した。このデータを用いて行ったシミュレーションにより,XーSTRが父娘,および父由来アリルを共有する女性同胞(全同胞・父系半同胞)の鑑別に有用であることが示された。同胞尤度比算出のため,1)遺伝的距離に基づく組み換え価を採用し,座位ごとに順次計算する,2)連鎖不平衡が検出された座位はハプロタイプとして扱う,3)遺伝型に矛盾が生じた場合のみ突然変異を考慮する,としたモデルを考案した。本法は少ない計算量で妥当な同胞尤度比が得られ,法医遺伝学的に有用と考えられた。
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