研究課題/領域番号 |
25460878
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
斉藤 剛 東海大学, 医学部, 准教授 (30266465)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アコニチン / コルヒチン / モノスピン / LC-MSMS |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続きキノコ毒成分の抽出、単離を行った。ツキヨタケの毒成分のイルジンSの単離は可能であったが、ニガクリタケの毒成分とされるファシクロールE、Fは、位置異性体のため個別の単離は困難であった。しかし、双方の化合物はLC-MSMSによって一斉に分析可能となった。また、これらのキノコの毒成分を加熱後、あるいは非加熱の試料から、また生体試料中からの抽出方法を設定した。この方法を実際のツキヨタケ中毒症例の検体へ応用したがイルジンSは検出されなかった。現状では、調理前後のキノコあるいは吐物中から毒成分を迅速に定性する方法が最善と思われる結果を得た。 トリカブトの毒成分はアコニチン類であり死亡例や犯罪例も多い。また、山菜採りの時期に行者ニンニクと誤認され易い植物にイヌサフランがある。イヌサフランの毒成分は、コルヒチンであるが、痛風発作の際にも処方され、この処方薬の過量服薬による死亡症例も報告されている。そこで、致死的となりうるこれら化合物の一斉迅速分析法の開発を行った。具体的には、これらの化合物を血清、尿から迅速に抽出して定量する方法の開発を行いバリデーションを行った。同じように、大容量リザーバーモノスピンを用い、食べ残し等の植物からこれら化合物を迅速に抽出するための方法を開発した。この方法を各化合物による実際の中毒症例に応用したところ良好に分析可能なことを確認した。 現行のモノスピンに適応可能な試料量は、0.9ml程度であるが、大容量リザーバーは10mlの試料まで対応が可能である。また、モノリスに対する通液も1行程1分以内の遠心で完了するため、現行のモノスピンと同じく短時間で濃縮と抽出が行えるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに進められている。しかし、実際の中毒症例に適応すると検出不可能な症例があることが判明した。これは、試料の調整方法、あるいは機器の感度面から対応可能なのか、あるいは、代謝物を対象と考えるべきなのか、この点について細かな検証が必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
キノコ毒をはじめ植物毒に関しては、未知な部分が多く、本研究期間中にも不慮の中毒によって致死的となった症例を経験した。見方を変えれば、犯罪に使われる可能性がある植物が多く存在する。今後も実際に発生した中毒症例を含めて迅速な鑑定、検査方法の開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定していた試薬の在庫が無く、次回の販売が次年度となった。そのため関連する研究を次年度に回したために未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬が販売され次第に研究を再開する予定である。もし、次年度に販売が間に合わない見通しであれば、類似する毒性化合物で研究を行う。
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