研究課題
ヒトの指紋は万人不同、生涯変わらないという2つの特徴から、個人識別、認証のツールとして用いられている。指紋の隆線数にも紋様のパターンと同様個人差が存在し、一卵性双生児間で類似するなど多因子遺伝形質であることが知られているが、どのような遺伝子群により決定されるのかは解明されていない。本計画は、10手指の隆線数の総数である総隆線数あるいは紋様のパターンの形成に関与する遺伝子多型群を同定し、指紋形成のメカニズムや遺伝について理解を深めることを目的として2つのアプローチを用いて実施した。まず、ランダムな個体から構成される同一集団中で、性別毎に総隆線数が多い群と少ない群の2群のゲノムDNAを試料として行ったDNAマイクロアレイ解析結果の比較から得られた、有意差が上位に位置する総隆線数に関与する可能性のある遺伝子多型について、同解析の非対象試料(中くらいの総隆線数保有試料)の型判定をおこなった。集団全体の多型情報について、総隆線数との関連解析をおこなったが、統計的に有意なSNPsは検出できなかった。同様に、弓状紋、渦状紋、蹄状紋からなる3種の紋様と関連のある遺伝子多型も見いだせなかった。そこで、2つ目のアプローチとして、先天性指紋欠如症や、ネーゲリ症候群や網状色素性皮膚症等で変異が報告されている遺伝子、SMARCAD1とKeratin 14について、データベースを利用し多型検索をおこない、これらについて上記サンプルを対象とした多型解析をおこなったものの、総隆線数との関係を示す多型は認められなかった。最終年度である27年度は、疾患原因遺伝子の多型と紋様との関連を調べ、2つの遺伝子全長について、総隆線数が極端に少ないサンプルを試料としてシークエンス解析をおこなったものの、有意差を示す多型は見出すことが出来なかった。
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