第57回日本心身医学会のシンポジウム「ストレス関連疾患としての摂食障害」において「ストレス関連疾患としての摂食障害:脳画像研究によるアプローチ」と題する発表を行い、摂食障害の脳画像研究における最新の成果を概括して報告し、討議した。第20回日本摂食障害学会では「CBT-Eを用いた症例の検討会:CBT-E」においてCBT-Eの実施経験に関して発言、討議した。第4回心身医学のニューロサイエンス研究会では摂食障害の脳機能と構造に関する共同研究の進捗状況を報告し、今後の展望を示した。第21回日本心療内科学会では「内科IV」ポスターセッションの座長を務め、各種心身症の病態と治療についての発表について討議を行った。 今年度は摂食障害患者18名(神経性やせ症制限型女性9名、神経性やせ症過食排出型女性4名、神経性過食症女性4名、神経性過食症男性1名)と健常者25名(健常女性18名、健常男性7名)のT1強調構造画像、拡散テンソル強調画像、安静時fMRI画像の撮像を行った。このうち女性摂食障害患者14名(神経性やせ症制限型女性8名、神経性やせ症過食排出型女性4名、神経性過食症女性2名、)、健常女性16名のT1強調画像を試験的に解析した。右前帯状回背側で全対象者の皮質厚と摂食障害質問票「無力感」尺度の相関を年齢、BMIで補正すると、右前帯状回背側の皮質厚と無力感尺度には負の相関を認めた。次にBMIと年齢を補正して患者と健常者を比較すると、近接する右前帯状回膝部において健常者の皮質厚と摂食障害質問票の「無力感」尺度が有意な正の相関を示したのに対して、患者では同部位の皮質厚と「無力感」は負の相関を示すという、対照的な結果となった。 自己評価課題作成の予備実験として、人間の性質が技能を評価する短文を、肯定的内容か否定的内容か評価する課題を8名の健常被験者に施行した。30名を目標に実験を継続していく。
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