研究課題/領域番号 |
25460888
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40401111)
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研究分担者 |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00261975)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20431869)
亀山 祐美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60505882)
石井 伸弥 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80710996)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 薬物有害事象 / 多剤併用 / 高齢者総合機能評価 / 老年症候群 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
まず後ろ向き研究については高齢患者の追跡が困難であったため、当初を大幅に下回る約200名の患者の登録となった。郵送アンケートによる回答が困難であるとの判断から、他院へ転医した患者については対象にすることが困難となったために減少したものである。現在登録患者についてはそのデータクリーニングを行っているところであり、まもなく解析に入る予定である。 一方、当院における高齢患者において薬剤数が現実に薬剤有害事象に関わるかを再検討した。2002年~2010年における当科入院高齢患者における薬物有害事象の有無をretrospectiveに検出し、性・年齢の他、BMI、日常生活動作、疾患などの因子との関連を調査した。対象数は1310名で薬物有害事象は9.8%にあたる128例に認められた。多変量解析の結果、統計学的に薬物有害事象の危険因子として有意であったものは、BMI低値および薬剤数の多さの2つであった。薬剤数が当院の高齢患者においても改めて薬物有害事象の危険因子であることが再確認された。こちらの研究結果は現在英文執筆中であり、完成次第英文論文として投稿予定である。 次にケースコントロール研究については、初年度で薬剤数が減少した患者80名をケースとし、属性をマッチさせた薬剤数増加患者をコントロールとして薬剤数減少に関わる因子を統計学的に検討したが、残念ながら統計学的に有意な因子を得ることができずnegative studyとなった。 前向き研究については現在進行中であり、昨年度から約400名の登録が完了している。減薬や増薬に影響を与えうる要素として何が重要であるかにつき、次年度早々にデータクリーニングを開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず後ろ向き研究については高齢患者の追跡が困難であったため、当院通院患者のみの登録とした。当初の予定では本年度中にまとめて英文論文とする予定であったが、郵送アンケートによる回答が困難であるとの判断から、追跡が困難となり遅れが出た。 次にケースコントロール研究については、初年度で薬剤数が減少した患者80名をケースとし、属性をマッチさせた薬剤数増加患者をコントロールとして薬剤数減少に関わる因子を統計学的に検討したが、残念ながら統計学的に有意な因子を得ることができずnegative studyとなった。本年度中に結果を報告する予定であったが、現時点では論文としての発表は困難である。 他の研究については順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
処方の変更の有無あるいは変化した処方薬の数をもとにして、治療状況・病状にどのような影響が認められるか、引き続き統計学的に解析を行う予定である。また、今回の検討では日常生活動作や認知機能、身体機能といった要素についても検討を行っているため、従来の検討と比較して多面的な検討が可能となっている。 これらの要素を取り入れた検討については、海外を含めてもこれまで研究結果として前例となる論文が認められないため、新奇性のある研究として大いに期待できる検討ができるものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ケースコントロール研究の検討ではnegative studyに終わったために学会発表や英文論文作成を行うことが困難であった。これにより学会発表のための出張費や英文論文作成に関わる投稿費用等を計上することができなかった。 後ろ向き研究の検討においては年度内に研究結果をまとめることができず、次年度に繰り越すことで同研究の結果発表等を行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に行うことができなかった学会発表および英文論文作成のための費用として、そのまま次年度に同じ目的で使用する予定としている。
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