研究課題/領域番号 |
25460888
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40401111)
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研究分担者 |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00261975)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20431869) [辞退]
亀山 祐美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60505882)
石井 伸弥 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80710996)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多剤併用 / 減薬 / 薬物有害作用 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究ではまず当院の入院患者において老年内科医である担当医がどのような患者において減薬を考慮したか、実態調査およびその後の減薬の影響につき調査した。平成25年度入院の当院高齢入院患者のうち、研究参加同意の得られた患者で退院後2年間の追跡可能であった158名(男性46.8%、平均年齢82.8±6.5歳,要介護認定46.2%)とし、対象者の入院中の薬の種類や入院中の増減、さらにその他の因子を調査し統計解析を行った。その結果、平均6.7±4.4剤を入院前に内服しており、退院時には平均6.1±4.1剤にまで減少が認められた。158名中54名が入院中に減薬となっていたが、減薬と関連する因子につき多変量解析を行ったところ、男性(OR 4.68、95%CI 1.71-14.5)、要介護認定(OR 4.1, 95%CI 1.33-14.2)、入院時の多剤併用(OR 1.40、95%CI 1.6-1.7)が関連していた。一方、減薬をより原病の悪化が懸念されるため、入院中の薬物有害作用との関連を調査した。入院中の薬物有害作用は19名(12.0%)に認められ、薬物有害作用と統計学的に関連した因子は入院日数の多さ(OR 1.03 95%CI 1.01-1.04)のみであり、減薬は有意な因子ではなかったが、薬物有害作用を認めたものでは確実にその後に減薬が行われていた。 また、縦断的に追跡した調査においては、本研究対象者の再入院は5名と少数であり、その他薬物有害作用も2年間では明らかなものは確認できなかったことから、本研究の対象では減薬は適正に行われたものと判断した。 以上より、老年内科医は男性で処方薬の多い要介護高齢者に対してより減薬の必要性を感じ、長期的な観察においても有害作用がなく安全に減薬をしている実態が判明した。今後の課題としてどのような薬剤が中止対象となるかの検討が必要と考えられる。
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