研究課題/領域番号 |
25460893
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
濱野 忠則 福井大学, 医学部, 准教授 (40334817)
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研究分担者 |
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
白藤 法道 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (40529319)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タウ蛋白 / アルツハイマー病 / オリゴマー |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)の主たる病理所見はアミロイドβ蛋白より形成される老人班と、高度にリン酸化したタウ蛋白よりなる神経原線維変化(NFT)である。ADの危険因子は2型糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病であることが注目されている。タウオリゴマーが惹起する神経細胞死、タウ重合促進を誘導する分子メカニズムにつき、神経系細胞にTET-OFF誘導系を導入し、検討した。さらに本分子機構に基づいた新規薬剤の評価系を構築することを目的とした。本年度、タウオリゴマーの形成をtet-off誘導系を導入した神経系細胞モデルを用いて行った。具体的には細胞画分法を用いたサルコシル不溶性画分のウエスタンブロットにより、120kDa, 180KDa,240kDaの分子量のオリゴマータウの形成に成功した。また、タウオリゴマーが惹起する細胞死に関しては、タウオリゴマーの形成により、活性型caspase3の増加が確認された。新規薬剤の評価系として、TET-OFF誘導系を導入した神経系細胞を用いた検討により、2型糖尿病治療薬、PPARγアゴニストピオグリ太ゾン投与によりリン酸化タウの減少効果、さらにタウのリン酸化酵素であるGSK3βを不活性化する効果が確認された。また、NFTの形成に重要なサルコシル不溶性画分の高度に重合したタウの減少効果も認められた。タウオリゴマーの減少も示された。以前の我々の検討からピタバスタチンがリン酸化タウを減少する効果がすでに確認されている。この効果は低分子G蛋白であるRho-ROCKの不活性化を介するものであることが確認された。そのため現在は直接的効果が期待されるROCK阻害薬の効果を確認している。ROCK阻害薬で同様にタウの重合、リン酸化の抑制効果が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TETOFF誘導系を導入した神経系細胞を用いた検討により、細胞画分法を用いたサルコシル不溶性画分でのタウオリゴマーの形成に成功した。さらにアルツハイマー病新規薬剤の開発に関しては、ピオグリタゾン、およびROCK阻害薬(H1152)を用いたタウ蛋白リン酸化、および重合の抑制につき示すことができた。またその機序についてもある一定のレベルまで解明できたため。
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今後の研究の推進方策 |
Aβとタウの相互作用につき解明するため、Aβ投与によるタウ重合促進機構、すなわちオリゴマー形成促進機構につき同様に解明する。 生活習慣病に伴う酸化ストレスの増加により惹起されるタウの立体構造の変化(オリゴマー)につき、解析のため、酸化ストレス(H2O2,AGE)を加えることによるタウオリゴマーの増加、およびcaspaseの活性化、サイトカイン(IFNɤ、TNFα)の増加につき検討することを今後の目的とする。タウ分解経路の障害によるタウオリゴマー形成の増加に関しては、ライソゾーム阻害薬、オートファジー阻害薬の効果を確認する。 TETOFF誘導系により治療効果の確認された薬剤(PPARɤアゴニスト、ROCK阻害薬>に関しては野生型、変異型タウを発現するマウスモデルを用いた検討を行いin vivoでの効果を確認する。
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