研究課題/領域番号 |
25460897
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉本 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20437403)
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研究分担者 |
樂木 宏実 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20252679)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サルコペニア / 加齢 / 生活習慣病 / 骨格筋エコー / マイオカイン |
研究実績の概要 |
①サルコペニア肥満動物モデルの確立 昨年来、60週齢の雄性自然発症高血圧ラット(SHR)と野生型(WKY)を用いたサルコペニア肥満モデルの妥当性検証を行っている。SHRはWKYと比較し筋量(特に速筋)が低下していたが、組織学的検討においても、SHRで筋断面積の平均、ミトコンドリア代謝能(SDH染色)ともにWKYと比較し低値であった。ユビキチンプロテアソーム系分子発現はSHRでWKYと比較し軽度低下を示したが、筋サテライト細胞マーカー分子Pax7発現については差がなかった(2014日本老年医学会総会にて発表)。昨年度中に完成した下腿筋強制収縮システム、筋力測定システムを用いた60週齢SHR、WKYを用いた実験を遂行中である。 ②骨格筋ミトコンドリア機能賦活化によるサルコペニア予防を目的とした介入研究 1)動物実験:前実験としてF344ラットを用いた実験を施行した。カルニチン製剤(レボカルニチン、0.1%)を4週間投与し、60週齢時に前述の下腿筋強制収縮システムを用いて筋収縮前後の変化の検討も考慮しサンプルを収集した。現在、収集サンプルから組織切片作成、RNA、タンパク抽出を施行中であり、平成27年度上半期中に解析を行う。現在SHR、WKYに対してレボカルニチン投与実験を施行中である。 2)臨床研究:事前研究として、昨年6月までに下腿骨格筋エコー施行し得た当科入院患者34名(平均年齢76歳) のデータを解析したところ、筋力、バランス機能、パフォーマンス能とは、前脛骨筋の筋厚、筋輝度が最も良く相関し、腓腹筋、ヒラメ筋との相関が良くなかったことから、前脛骨筋を用いた骨格筋エコー評価が、サルコペニアの簡便な診断法として臨床的有用性が高いと考えられた(2014年度日本老年学会総会にて発表)。カルニチン製剤による介入に関しては、現在倫理委員会審査用のプロトコールを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サルコペニア肥満モデルの確立、さらに下腿筋強制収縮システムの確立、介入用動物の成長に伴い、昨年報告した遅れは取り戻しつつあり、カルニチン製剤を用いた検討も施行できている。一方、カルニチン製剤を用いた臨床研究については、研究遂行のためのマンパワー不足が当教室員の異動などにより存在していたため、倫理委員会用申請書類はまだ作成中の段階であることを考慮し、「やや遅れている」と現在の到達度を判断した。
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今後の研究の推進方策 |
予定している動物実験に関しては、ここ数ヶ月での進捗が順調であり、データ解析を円滑に進めることにより当初の目標を達成できると考えられる。臨床研究に関しては、本年度4月から研究代表者が所属しているグループ員に増員があったことから、彼らの協力のもと、本年度できる限り早期に本学倫理審査委員会の承認を得て、研究を開始する。
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