サルコペニア肥満における筋ミトコンドリア機能賦活化の意義を、基礎的かつ臨床的に明らかにすることを目的に以下の検討を行った。 基礎研究において、自然発症高血圧ラット(SHR)と野生型であるWistar Kyotoラット(WKY)を用いた検討では、60週齢SHRはサルコペニア肥満というよりサルコペニアの表現型を示し、過食負荷による影響を受けない一方で、60週齢WKYは過食によりサルコペニア肥満の表現型を示すことが明らかとなった。ミトコンドリア賦活作用を有するとされるカルニチン負荷(4週間)により、筋量は増加しないものの筋力は増加し、その変化はSHRで顕著であり、遅筋におけるミトコンドリア機能賦活化の関与が考えられた。 高齢生活習慣病患者を対象とした臨床研究では、骨格筋エコーは臨床的に下肢筋力低下を簡便に捉える方法として有用であり、特に前頚骨筋の筋厚と筋輝度(筋質を反映する指標)の評価がサルコペニアの評価に有用であると考えられた。
|