研究課題/領域番号 |
25460901
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山口 奈緒子 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (50380324)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ストレス / エストロゲン / 思春期 |
研究概要 |
発達期の過剰なストレス経験は、ストレス直後のみならず、成長後まで長期にわたって影響を及ぼし、青年期・成人期以降の様々な疾患の発症契機の一因となりうる。近年、発達期のストレス経験の長期的影響について、種々の動物モデルを用いた研究が増加しており、ヒトと同様に成体期への長期的影響についても注目されているが、その生物学的・神経学的基盤の詳細はほとんど分かっていない。発達期のなかでも特に思春期は、ストレス応答の要である視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)が機能発達・成熟する時期である。この時期の過剰なストレス経験はHPA系の発達に影響を及ぼし、ひいては成体期のストレス応答をも変化させる可能性が推測される。そこで本研究ではラットを用いて、思春期ストレス経験が成体期のストレス応答性に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。 本年度は、雄ラットを用いて以下の実験群を作製した:①思春期-無処置・成体期-無処置群、②思春期-無処置・成体期-ストレス群、 ③思春期前-ストレス・成体期-ストレス群、④思春期-ストレス・成体期-ストレス群、⑤思春期後-ストレス・成体期-ストレス群。①および②の群については、若齢期はストレスを負荷せず、通常飼育を行った。③~⑤の群については、若齢期の該当週齢に拘束ストレス(1時間/日)を連続して5日間負荷した後、成体期まで通常飼育に戻した。成体期に該当週齢に達した時点で、拘束ストレス(1時間/日)を連続して5日間負荷し、最終日のストレス負荷直後に麻酔下で採血および脳組織採取を行った。全群の切片作製を終え、一部については、ストレス関連因子に対する免疫組織化学染色を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、当初の計画通りに全ての実験群を作製した。組織実験に関しては、一部計画を前倒しして進めた。一方、血液サンプルの解析については、計画していたELISAを行っていないため、次年度に早急に実施する予定である。概ね当初計画に沿って遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の前半は、まず前年度に採取した血液サンプルを用いて、ELISA法によりエストロゲン、コルチコステロンおよび副腎皮質刺激ホルモンの濃度を測定する。測定には市販のELISAキットを用いる。また、前年度に作製した脳切片を用いて、免疫組織化学染色を行い、脳内の各部位でのストレス関連因子の発現数を解析する。 平成26年度の後半は、実験2を行う。発達期ストレス経験の長期的な影響は、負荷するストレスの種類によっても大きく異なることが知られている。実験2では、平成25年度に行った拘束ストレスとの影響の違いを検討するため、社会的ストレスを負荷する。比較検討のため、雄ラットを用いて、実験1と同様のタイムスケジュールで実験群を作製する:①思春期-無処置・成体期-無処置群、②思春期-無処置・成体期-ストレス群、 ③思春期前-ストレス・成体期-ストレス群、④思春期-ストレス・成体期-ストレス群、⑤思春期後-ストレス・成体期-ストレス群。ストレス負荷群については、思春期の該当週齢に社会的ストレスを連続して5日間負荷する。エストロゲン受容体βの関与について検討するため、思春期でのストレス負荷の間にエストロゲン受容体β遮断薬を投与する群も合わせて作製する。成体期でのストレス負荷実験では、実験1と同様の拘束ストレス(1時間/日)を連続して5日間負荷し、最終日のストレス負荷直後に麻酔下で採血および脳組織採取を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に計画していた血液サンプルの解析を行っていないため、ELISAに使用するキットおよび一般試薬、消耗品の予算が残り、次年度使用額が生じた。 当該年度に計画していた血液サンプルの解析を次年度に行うため、ELISAに使用するキットおよび一般試薬、消耗品の購入に使用する予定である。
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