研究課題
九州大学病院心療内科の外来・入院患者約350名に対して慢性疼痛関連指標、被養育体験、家族機能、心理特性・状態の評価を実施。また、血漿オキシトシン濃度、自律神経機能も測定した。1)慢性疼痛の重症度と幼少期の両親の養育態度の差異についての検討【方法】地域一般住民で痛みのない群(一般健常群:n=114)、慢性疼痛を持つ群(一般疼痛群:n=114)、当科外来の慢性疼痛患者群(外来群:n=57)、当科入院患者群(入院群:n=57)の4群とし、16歳までの両親の養育態度(ケア・過干渉)を評価。養育パターンの頻度の解析にはロジスティック回帰分析を実施。【結果】「低ケア/過干渉」の養育パターンを有するオッズ比は一般健常群を対照とすると、父親においては一般疼痛群1.44(95%CI: 0.74-2.82)、外来群2.35( 1.10-5.02)、入院群3.66(1.77-7.57)、母親においては、一般疼痛群1.82(0.88-3.81)、外来群2.99(1.33-6.73)、入院群3.66(1.56-7.77)であった。【結論】幼少期の両親の養育態度が慢性疼痛の重症化に関連していることが示唆された。2)慢性疼痛患者における家族機能と機能障害との関連についての検討【方法】当科外来慢性疼痛患者209名(女154名)に対し生活機能障害、抑うつ症状、痛みの破局化、現在の家族機能(問題解決、意思疎通、役割、情緒的反応、情緒的関与、行動統制)を評価。生活機能障害・抑うつ症状を目的変数、家族機能を説明変数として重回帰分析を男女で層別化し実施。【結果】男性では「意思疎通」と生活機能障害、「情緒的関与」と抑うつ症状、女性では「情緒的関与」と生活機能障害・抑うつ症状との間で有意な関連が見られた。【結論】慢性疼痛患者の機能障害に家族機能が関連しており、その関連には男女差がみられた。
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