研究課題/領域番号 |
25460908
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
上野 博司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20381965)
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研究分担者 |
細川 豊史 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80165555)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 末梢神経障害 / タキサン系抗癌剤 / 化学療法 / 漢方薬 / 光線療法 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究計画の順序を変更して、抗癌剤による末梢神経障害で疼痛・緩和ケア科に紹介されてきた症例に対する症状マネジメントに関するデータの蓄積を行った。主にパクリタキセルによる化学療法後に残存した四肢末梢の疼痛・しびれ症状に対して、薬物療法を中心にマネジメントが行われた。その投薬内容では、デュロキセチン、プレガバリンの使用頻度が高く、程度の差はあるが多くの症例で改善効果を認めた。また、オピオイド鎮痛薬であるオキシコドン徐放剤を用いて劇的にしびれが改善した症例も見られた。さらに、これらの鎮痛補助薬に加えて、芍薬甘草湯、牛車腎気丸などの漢方薬の使用や、低出力レーザー(LLLT)照射を併用することで症状緩和が促進された症例も何例かあった。 次年度が本課題の最終年度となるが、研究の進行が遅れており、抗けいれん薬(プレガバリン、ガバペンチン)、抗うつ薬(アミトリプチリン、デュロキセチン)、各種オピオイド(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル)の中で、実臨床で神経障害による症状緩和に有効な薬剤の選出と、漢方薬やLLLTによる光線療法など補助的治療法の有効性についての検討を早急に行っていく。時間が許せば、Bennettらによって開発されたラットのパクリタキセルによる末梢神経障害モデルを用いた神経障害のメカニズムの解明と、それに基づいて実臨床で有効な治療法の作用機序を、疼痛関連遺伝子の発現変化や組織形態的に検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、京都府立医科大学附属病院の緩和ケア病棟および緩和ケアセンターが設置され、本研究の中でも臨床データを獲得するための基盤整備を中心に行った。実際には、臨床での末梢神経障害の症状マネジメントのデータの蓄積と、その内容から有効性の高い薬剤の推定と、補助的治療法(漢方薬、光線療法)の有効性の検討を行った。当初の研究計画では後半に予定されていた、実臨床でのタキサン系抗癌剤に対する有効な治療法の開発の準備を前倒しで開始したことになる。このため、動物実験に時間を費やすことができず、当初の研究計画からは、遅れた状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本課題の最終年度である次年度は、本課題の最終目的である実臨床でのタキサン系抗癌剤による末梢神経障害の有効な治療法の開発に対する直接的な結論を出す方向で研究を進めていく予定である。実際には、実臨床で神経障害による症状緩和に有効な薬剤の選出と、漢方薬やLLLTによる光線療法など補助的治療法の有効性についての検討を早急に行い、何らかの結論を導き出す。時間が許せば、Bennettらによって開発されたラットのパクリタキセルによる末梢神経障害モデルを用いた神経障害のメカニズムの解明と、それに基づいて実臨床で有効な治療法の作用機序を、疼痛関連遺伝子の発現変化や組織形態的に検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、京都府立医科大学附属病院の緩和ケア病棟および緩和ケアセンターが設置され、本研究の中でも臨床データを獲得するための基盤整備を中心に行った。実際には、タキサン系抗癌剤による末梢神経障害の治療法の開発に直結する、実際の臨床での末梢神経障害の症状マネジメントのデータの蓄積と、その内容から有効性の高い薬剤の推定と、補助的治療法(漢方薬、光線療法)の有効性の検討を行った。 このため、当初予定していた2年目までの課題であるラットのパクリタキセルによる末梢神経障害モデルの作成、組織形態学的な神経障害機序の解明、疼痛関連遺伝子の発現変化の解析を行うことが不可能となり、この分の費用が次年度に持ち越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、タキサン系抗癌剤による末梢神経障害の有効な治療法の開発に対する直接的な結論を出せる方向で研究を進めていく予定であり、実際には、実臨床で神経障害による症状緩和に有効な薬剤の選出と、漢方薬やLLLTによる光線療法など補助的治療法の有効性についての検討を優先して行う予定である。その次の段階で、Bennettらによって開発されたラットのパクリタキセルによる末梢神経障害モデルを用いた神経障害のメカニズムの解明と、それに基づいて実臨床で有効な治療法の作用機序を、疼痛関連遺伝子の発現変化や組織形態的に検討していく予定である。 これらに必要な費用としてこれまで繰り越した分を使用していく予定である。
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