研究課題/領域番号 |
25460910
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
岡崎 真理 城西大学, 薬学部, 教授 (50272901)
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研究分担者 |
坂本 武史 城西大学, 薬学部, 教授 (20187040)
松崎 広和 城西大学, 薬学部, 助手 (80582238)
玄 美燕 城西大学, 薬学部, 助手 (50711751)
岩田 直洋 城西大学, 薬学部, 助手 (50552759)
日比野 康英 城西大学, 薬学部, 教授 (10189805)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フェルラ酸誘導体 / 抗アポトーシス作用 / 慢性脳循環障害 / 嚥下障害 / 脳保護作用 / ラット |
研究実績の概要 |
フェルラ酸(FA)は、植物の細胞壁を構成するリグニンの分解産物であり、脳機能改善効果が期待されるサプリメントである。本研究では、脳血管障害による脳障害およびこれに伴う嚥下障害の予防・改善に有効な化合物の開発を目的として、FA誘導体の設計・合成および有効性評価を行った。 抗酸化活性および細胞保護効果を指標としてスクリーニングした結果、FAよりも強い効果を示すFAD012を見出した。FAD012はFAと同様に細胞毒性が低く、過酸化水素による細胞死に対してFAよりも強い抑制効果を示した。FAD012は過酸化水素による細胞内活性酸素種の増加を抑制するとともに、Erk1/2経路を介してBcl-2の発現を増加させ、酸化ストレスによるアポトーシスを抑制することが明らかになった。 さらに、FAD012の嚥下反射機能予防・改善効果を、両側総頚動脈結紮(2VO)による嚥下障害モデルラットを用いて検証した結果、FAD012は、FAよりも低濃度で嚥下反射機能障害軽減効果を示すことが明らかになった。また、FAD012は、2VO処置による虚血時の脳血流低下を顕著に抑制し、ラットの死亡率を低下させた。この効果は、FAD012を慢性的に経口投与した場合にのみ見られ、FAD012を2VO直前に単回経口または静脈内投与した場合には、高用量においても確認されなかった。また、血圧や心拍数等の循環器系に対する影響も見られなかった。このことは、FAD012を虚血性脳血管障害の発症前から予防的に経口服用しておくことにより、安全に虚血発作時の脳障害を軽減し、後遺症として生じる嚥下障害を軽減できる可能性を示している。 以上、本研究結果より、FAD012は新しいメカニズムを有する安全な脳保護薬として、ハイリスク患者や既往歴のある患者の虚血性脳障害の軽減に貢献できる可能性が示された。
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