研究課題
基盤研究(C)
平成25年度の研究成果抗がん剤治療を行う高齢のがん患者に対して、高齢者総合的機能評価を治療前および治療導入後も定期的に継続して実施して、そのスコアを評価することで、臨床効果を予測できるのではないかという予備的な成果を得た。具体的には、65歳以上のがん患者21名で評価したところ、認知機能の指標であるMini Mental Status Examination (MMSE)およびVES-13というスクリーニング指標のスコアの変化と生存期間との間に有意な相関がみられた(論文投稿中)。このことは、治療を開始してからも機能評価を続けることにより、治療導入後においても治療方針変更の判断材料が得られることを示唆している。これを受けて、70歳以上の塩酸ゲムシタビンの治療を予定する切除不能膵臓がん患者に対して、治療前および治療開始後に2カ月ごとに機能評価を行う臨床試験を企画し、研究計画書を作成した。倫理委員会の承認が得られ、平成25年6月から登録を開始し、26年2月末の時点で8例の登録が行われた。一方、タブレット端末を用いたデータ採録システム(VES-13およびCSGAを評価)を一般研究者向けに開発したので、ダウンロードすることにより多くの研究者、施設でデータを扱うことが可能となった。また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)では高齢者研究小委員会を平成25年12月に組織し、研究代表者が委員長を担うこととなった。多施設臨床研究において高齢者研究の推進を図り、この採録システムを広く活用して、データ収集ができるように工夫した。
2: おおむね順調に進展している
高齢者膵がんを対象とした前向き試験の研究計画書を作成し、倫理委員会の承認が得られ、計8名の登録患者が得られ、臨床試験は順調に進捗している。また、データ採録システムを完成させたので、多施設による協力が可能となり、データ集積の向上が期待でき、おおむね順調に進展していると考えている。一方、大腸癌や肺がんなどの癌腫においては現在、研究計画書を準備中であり、併せて調整を進めていく予定である。
データ採録システムを完成させたので、このシステムを広く共有しデータ集積の向上を図る。具体的には、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の高齢者研究小委員会を通じて、情報の共有を進めていく。杏林大学内でも、外科、呼吸器科などとこのシステムを共有して研究計画書を準備中である。
平成25年度は、タブレット端末を用いたデータ採録システム(VES-13およびCSGAを評価)の開発のために、必要な消耗品費として使用した。今年度については測定患者数が少なかったため、人件費は計上しなかった。平成26年度は、本格的にデータ採録システムの活用を進める。測定患者数の増加も予想され、前年度未使用額も合わせて、患者登録に対応するスタッフの人件費として、またタブレット端末用の使用消耗品の購入として使用する。
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