研究課題
本研究は、原発事故広域避難者を対象に次の4手法を用いて、孤独死・自殺予防のための新たな「社会的ケア」モデルの構築を目指したものである。平成27年(2015年)度の研究成果を報告する。[A]震災4年の平成27年(2015年)1-3月に、NHK仙台・福島放送局と共同で、福島県・宮城県・岩手県の被災者約5万5千世帯を対象にした大規模な調査を実施した。約55%の被災者が抑うつ状態にあり、また約40%の被災者がPTSDの可能性があるほどの高いストレス状態にあることが示された。多重ロジスティック解析の結果から、「相談者がいない、経済状況に困っている、体調が心配、住宅やまわりの環境に不満」がある人びとは抑うつやPTSDの危険性があることがわかり、社会的状況・経済的状況・身体的状況・住宅環境が複合的に被災者の心身にダメージを与えていることが判明した。震災1年目、2年目、3年目に行った大規模調査の結果は、日本心身医学会雑誌に原著論文として2本アクセプトされた。[B]連携研究者・大学院生・学部学生らと共に、福島県内および埼玉県内在住の被災者へのインタビュー調査を実施し、質的分析結果を著書「漂流する自主避難者たち」(明石書店)にまとめた。[C]昨年度リサーチフェローとして在外研究を行なった米国ハーバード大学難民トラウマ研究所(Harvard Program in Refugee Trauma;HPRT)のメンバーと共に執筆した英文論文が国際ジャーナルPlosOneに掲載された。また、HPRT発行の著書“Global Mental Health:Trauma and Recovery”に論文が掲載され、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)発行のネットジャーナルに論文が掲載された。[D]震災支援ネットワーク埼玉(SSN)の支援活動に継続参加し、社会的ケアのSSN/WASEDAモデルを作成した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (2件)
PLoS ONE
巻: 11 ページ: e0151807
10.1371/journal.pone.0151807
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