研究課題
本研究の目的は、高血圧症の病態形成における鉄の関与と高血圧症に対する鉄制限の効果について検討することである。申請者らは、食塩感受性高血圧症、慢性腎臓病の病態形成における鉄の関与を明らかにし、食事性鉄制限による病態抑制効果を示してきた(Naito Y et al. Hypertension. 57: 497-504, 2011、Naito Y et al. Journal of Hypertension. 30: 2192-2201, 2012)。本年度は、昇圧ホルモンであるアルドステロン過剰分泌による高血圧症の病態においても鉄が関与するかどうかを、アルドステロンを外因的に投与するマウス高血圧症モデルを用いて検討した。その結果、アルドステロン過剰による高血圧症の病態形成においても鉄が関与すること、特に高血圧性障害臓器である腎臓における細胞内鉄取り込み受容体:トランスフェリン受容体1の関与を明らかにした。さらに、本モデル動物に対する食事性鉄制限による降圧および腎障害抑制効果を明らかにした。さらに、高血圧モデル動物を用いて明らかにしたトランスフェリン受容体1の過剰発現を、大動脈瘤などのヒト高血圧症手術症例の大動脈においても確認した。
2: おおむね順調に進展している
高血圧モデル動物を用いて明らかにした細胞内鉄取り込み受容体トランスフェリン受容体1の過剰発現を、インフォームドコンセントにより同意の得られた大動脈瘤などの高血圧症手術症例の大動脈においても確認することができた。
トランスフェリン受容体1ノックアウトマウスを用いた基礎実験により、高血圧におけるトランスフェリン受容体1の関与をさらに検討していく。高血圧患者における食事性鉄制限の効果を検討していく。
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Journal of Hypertension
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Hypertension Research
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