研究課題/領域番号 |
25460924
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯島 克則 東北大学, 大学病院, 講師 (60375003)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 逆流性食道炎 / エストロゲン |
研究実績の概要 |
雄ウサギの食道粘膜を摘出して、Ex vivoモデル(Ussing chamber) に貼り付け、食道上皮に対する酸・NO暴露の影響およびエストロゲン投与による食道粘膜バリア機能の変化を検討した。 Ussing chamberを用いた電気生理学的検討および粘膜透過性の検討では、 酸、一酸化窒素(NO)暴露により食道粘膜抵抗値の低下、fluorescein透過性の亢進を認め、食道粘膜バリア機能の低下を認め、食道粘膜傷害の初期の変化と考えられた。また、NO併存下で食道粘膜傷害はより増悪していた。エストロゲンを前投与したところ、この粘膜抵抗値の低下、fluorescein透過性の亢進は減弱され、すなわち、エストロゲンの前投与によって、食道粘膜バリア機能の増強を認め、エストロゲンは食道粘膜傷害に対して抑制的に働いていることが確認された。 次に、雄ウサギ食道粘膜への酸暴露に伴う食道粘膜傷害について光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡を用いて組織学的に評価した。光学顕微鏡では、chamber内で酸に暴露後の食道上皮には組織傷害はみられなかった。しかし、電子顕微鏡では、食道の酸暴露後に細胞間隙拡大(dilation of intercellular space : DIS)が出現、さらにエストロゲンを前投薬した場合、酸暴露後のDIS減弱が認められた。この結果は、食道酸暴露によって組織学的にも食道上皮の微細な傷害が生じるが、エストロゲン投与によって、その傷害が抑制されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前回示した電気生理学的な食道粘膜傷害の他に、電子顕微鏡を用いた組織学的検討を加えたが、同様にエストロゲンの食道組織傷害抑制作用が確認でき、土台となる実験結果が多角的に証明された。
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今後の研究の推進方策 |
ウサギ食道粘膜の酸・NO暴露によるバリア機能傷害に、エストロゲン投与による影響が出現する機序について、食道粘膜バリア機能を司るtight junction関連蛋白の変化をWestern blot により検討していく。Western blottingによりtight junction関連蛋白であるclaudin, occludinの食道酸暴露、およびエストロゲン投与の影響を検討する。さらに、ヒトでの検討として、食道の生検組織を用いたtight junction関連蛋白の発現に関して検討する。
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