食道腺癌は男性優位に発現する予後不良な悪性疾患であり、その前駆状態であるバレット食道、逆流性食道炎の発現も男性で多いことが知られている。その要因の一つに、女性ホルモンであるエストロゲンがこれら一連の食道疾患に対して抑制的に作用していることが考えられている。今回の検討では、ウサギ食道粘膜のバリア機能とエストロゲンとの関係を検討した。その結果、エストロゲンは細胞間接着蛋白であるoccludinの発現を調整し、食道粘膜バリア機能を増強させている可能性が示唆された。そして、男女における食道バリア機能の違いが、逆流性食道炎、さらにはバレット食道や食道腺癌の男性優位性を導いていると考えられた。
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