研究課題
本研究は食道のアレルギー疾患であると考えられている好酸球性食道炎の成因に食道内への胃酸の逆流がどのようにかかわっているかを明らかとすることを目的としている。マウスをモデル動物として幽門狭窄逆流性食道炎を作成した。さらに、卵白アルブミン、ピーナツ抽出液を刺激抗原として用いることで好酸球性食道炎モデルも作製した。次いで好酸球性食道炎モデル動物に幽門狭窄を作製することで食道内に胃酸が逆流する酸関与好酸球性食道炎モデルを作製した。酸関与好酸球性食道炎モデルを作成すると酸が関与しない単純な好酸球性食道炎モデルに比較して食道粘膜への好酸球の浸潤が増強する傾向があることが明らかとなった。さらに酸関与好酸球性食道炎モデルマウスの食道からmRNAを抽出してIL-5, -13 などのTh2型のサイトカインの産生を酸が関与しない単純な好酸球性食道炎モデルでの成績と比較し評価した。その結果酸逆流の存在が好酸球性食道炎の免疫反応と炎症とを強くしている可能性が示された。次いで、マウスに胃酸分泌抑制薬を投与した状態で、幽門狭窄と好酸球性食道炎モデルの作成を行ったが、胃酸分泌抑制薬の投与下では非投与下に比べて食道の炎症が抑制される傾向にあった。このようなマウスを用いた研究結果に基づいて、島根大学倫理委員会の承認を得たうえで、プロトンポンプ阻害薬を用いた治療に抵抗性を示す好酸球性食道炎患者に対して より胃酸分泌抑制作用が強力であるボノプラザンの投薬を行った。プロトンポンプ阻害薬に抵抗性を示した好酸球性食道炎患者の半数以上が治癒状態にいたり、マウスだけではなく人においても好酸球性食道炎の発症に胃酸の食道内逆流が重要な因子となっていることが明らかとなった。この成績は食道内への酸逆流が好酸球性食道炎の要因となりうること、酸逆流を抑制することで好酸球性食道炎が軽快することの理論的根拠を示すものであると考えられる。
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