研究課題/領域番号 |
25460930
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30405188)
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研究分担者 |
片岡 洋望 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40381785)
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90285198)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | PARP阻害剤 / 胃癌 / 大腸癌 / ATM |
研究概要 |
胃癌細胞株におけるAtaxia telangiectasia mutated (ATM) 発現レベルおよび、その機能をWestern blot法により確認した。同時に、各々の胃癌細胞株のPARP阻害剤に対する感受性をClonogenic survival assayを用いて評価した。 ATM低発現細胞株はPARP阻害剤に対する感受性が強く、ATM発現レベルとPARP阻害剤の効果は有意に負の相関を示した。さらにATM高発現胃癌細胞株においても、ATM knockdownによりPARP阻害剤の効果が増強された。Rad51、BP51、XRCC1などのDNA修復蛋白発現とPARP阻害剤感受性の関連についても検討したが、有意な相関は認めなかった。 ATM阻害剤のPARP阻害剤の増感作用についても検討をすすめた。PARP阻害剤、ATM阻害剤の併用投与は、ATM高発現胃癌細胞株に細胞死を誘導したが、その効果は胃癌細胞株のp53遺伝子変異の有無と関連がみられた。ATM阻害剤はp53変異を有する胃癌細胞株において強い増感作用を示し、さらにp53野生型の胃癌細胞株についても、p53 knockdownによりATM阻害剤によるPARP阻害剤増感作用を確認することができた。 本研究の成果から、胃癌におけるPARP阻害剤の感受性バイオマーカーとしてATMが有用である可能性が、またATM阻害剤の併用によりPARP阻害剤の使用適応が拡大できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PARP阻害剤の胃癌への効果に関する検討では、vitroの実験が順調に進展しており、本年度中に結果をまとめ、国際学術雑誌に論文として発表する予定である。 大腸癌に関しても、胃癌の研究と同様な検討を進めており、概ね予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
胃癌でのvitroの検討が順調に進展していることから、今年度は、マウス移植モデルを用いたPARP阻害剤の胃癌に対する効果の検討を行う。また大腸癌に対するPARP阻害剤の効果についても、ATM発現の点から検討を進める。 さらに、今年度は臨床検体を用いた病理学的検討から、胃癌、大腸癌におけるATM発現と化学療法感受性の関連についても研究を進める予定である。現在、大腸腺腫、大腸癌の内視鏡生検サンプルからDNA、mRNA抽出作業を進めており、ある程度のサンプル数が確保でき次第、DNA修復関連遺伝子の発現解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用予定していたマウスの納入が遅れたため。 今年度に予定しているマウス実験のマウス購入に使用予定。
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