研究課題
基盤研究(C)
胃全摘術施行後、4週間飼育したラットの回盲部・中部結腸部・直腸部から採取した腸内容物をサンプルとしてpH測定・短鎖脂肪酸分析・フローラ解析を以下の通りに行った。1)腸内容物を対象にしたpH測定では全部位および直腸部位において胃全摘ラット群の方がコントロールラット群よりもpHが有意に低かった。中部結腸および回盲部では両群間に有意な差は認められなかった。2)腸内容物サンプルの短鎖脂肪酸分析をHPLCシステムにて行った。コハク酸・乳酸・酢酸・プロピオン酸・酪酸が検出されたが、他の短鎖脂肪酸は検出限界(2 mM)以下であった。乳酸・酢酸・プロピオン酸の各短鎖脂肪酸濃度および検出可能であった短鎖脂肪酸の合計濃度を比較したところ、胃全摘ラット群で有意な低下を認めた。3)腸内容物サンプルのフローラ解析をSYBR Premix Ex Taq (Perfect Real Time)(RR041A タカラバイオ)を用いたqPCRにて行った。胃全摘ラットでは、B. fragilis group, Enterobacteriacae, C. ramosum subgroup, C. coccoides group, E.cylindroides group, Bifidobacterium, Atopobium cluster, Prevotella, Veillonellaの菌数がコントロールラットに比べて有意に増加し、Lactobacillusは有意に減少していた。すなわち、胃全摘ラットの腸管内容物では偏性嫌気性菌の有意な増加が観察された。また、病理学的には胃全摘ラットの大腸粘膜では著明なリンパ球を中心にした浸潤が観察された。
2: おおむね順調に進展している
ラットの作成等は順調に進んでいる.若干予定した結果が得られていないものもあるが,現在鋭意実験等は進行中である.
現在、血中ペプシノーゲン(PG1値、PG I/II)を指標として、化生性胃炎患者と健常者それぞれ50名を選別し、便中のフローラ解析を行うことによって、胃酸分泌の違いが腸内フローラ構成に及ぼす影響を検討しているところである。
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