研究課題
前研究年度までにラットを使った胃全摘モデルにおいて末梢血、腸管内容物の解析により、①偏性嫌気性菌を中心にした腸管フローラの有意な増大が観察される事、②胃全摘ラットでは末梢単核細胞のLPS刺激によるIFNγ誘導能が有意に亢進している事、③胃全摘ラットにおいて十二指腸から大腸に至る消化管各臓器における遺伝子発現をマイクロアレイで検討する事で、十二指腸542、小腸640、結腸1353、直腸773の遺伝子に発現変化を認めた。以上の結果を踏まえて、本研究年度では以下の結果を得た。1)胃全摘術にて変化した遺伝子群について、発現変化を示した遺伝子群と関連性の高い生物学的機能と既知のパスウェイを解析したところ、直腸においては Top 5 に炎症に関わる機能がリストされて居り、また発現変化に関連する既知のパスウェイについては、Tリンパ球に関するものが、2種類が認められた。一方、同じ大腸でも結腸においてはT cell receptor signalingが抑制傾向にあると想定される解析結果が得られた。2)上記の遺伝子発現の結果から、胃全摘ラットの消化管の病理組織学的変化をコントールとの対比で検討した。その結果、胃全摘ラットにおいては、肛門より3㎝程度の範囲の直腸におけるリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤が著明である事、リンパ濾胞の構造が変化していると思われる所見を見出した。浸潤するリンパ球の構成としては、B cellおよびT cell共に増加を示していた。3)地域検診コホートからリクルートした化生性胃炎の受診者20名とH.pylori未感染かつ萎縮性胃炎のない健常者27名を対象に末梢血単核細胞を単離、LPS刺激によるサイトカイン誘導能を検討した。その結果、胃全摘ラットでの実験結果とは異なり、個人による差異が大きいが、全体として化生性胃炎例ではIFNγの発現誘導が有意に低下、IL10に発現誘導が亢進していた。
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