ヘリコバクターピロリ感染に伴う萎縮性胃炎などによる胃酸分泌低下状態が,腸内細菌叢に与える影響,および腸内細菌叢が関与する疾患に与える影響についてはよくわかっていない.本研究では,おもにラットを用いて,胃酸分泌低下によって惹起される腸内細菌叢の変化を解析し,また,それに伴う腸管における組織変化,遺伝子発現の変化も併せて検討した.その結果,胃酸分泌低下状態は腸内細菌叢の特異的な変化を引き起こし,腸管部位ごとに異なる組織学的炎症,遺伝子発現変化をもたらすことが判明し,胃酸分泌低下と各種腸管疾患との関連が示唆された.
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