研究課題
まずピロリ菌の類縁で人獣共通感染症を引き起こすハイルマニイ菌感染マウスを用いた検討を行い、免疫組織化学を用いて胃MALTリンパ腫に関するsubstance Pの関与の検討を行った。その結果、リンパ腫との関連については、リンパ球に対する反復性刺激などによる炎症性のリンパ球の増殖が最初におこり、その後の遺伝子の転座などにより腫瘍化にいたると考えられているが、substance Pは、この初期の機転から関与することがあきらかとなった。すなわち、substance P陽性壁在神経およびその受容体のNK-1Rが、リンパ腫形成初期に豊富に分布し、substance P免疫活性陽性部位は輸入細動脈、輸出細静脈周囲に認められるだけでなく、幹細胞を含むリンパ腫細胞上にも分布した。さらに拮抗剤のspantide II、aprepitant投与により腫瘍増殖が抑制されることからも、MALTリンパ腫におけるsubstance Pの重要性が明らかとなった。さらに、VEGF, c-Met拮抗剤のAxitinib投与によるMALTリンパ腫形成についてVEGFとともに血管新生に促進作用をもつVasohibin2 (VASH2)の局在およびAxitinib投与時の変化について検討した。 その結果、VEGF低下時にVASH2が代償的に増加することが明らかとなった。臨床例についての検討からは、qRT-PCRをハイルマニイ菌感染の判定に用いることが可能となったため、陽性率が向上し、症例が急速に集積しており、統計学的な検討が可能な症例の検討が可能となり、組織化学的手法でsubstance Pと幹細胞の検討も可能となった。その結果、マウスの感染モデルと同様にMALTリンパ腫形成にsubstance Pが関与することを示唆する所見が得られた。
日経メディカルにて紹介された内容について記載しております。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
J Infection Chemother
巻: 22 ページ: 229, 234
10.1016/j.jiac.2016.01.001
Prog Med
巻: 36 ページ: 322, 324
Digestion
巻: 93 ページ: 260, 265
10.1159/000445399
Case Rep Gastroenterol
巻: 9 ページ: 179, 187
10.1159/000431169
自律神経
巻: 52 ページ: 140, 144
http://www.pharm.kitasato-u.ac.jp/pathophys/