研究課題
通常内視鏡検査時に廃棄される胃洗浄廃液から回収・解析したDNA異常を胃がんの分子マーカーとして臨床応用することが本研究の目的である。既に、廃液である胃洗浄廃液を用いたDNA異常解析が従来法の弱みである「見逃し」の解消につなげることができるほか、存在診断・予測診断にも応用可能であることを米国Gastroenterology誌に報告した(特許申請)。さらに本研究では「解析時間短縮・効率的なDNA抽出・コスト削減」の課題に注目し、胃洗浄廃液から目的遺伝子を増幅する過程の簡素化・低コスト化にも注目し研究・検証を行うものである。当初のアイディアである従来のDNA抽出法を行わず直接PCR増幅させる方法を試みたが、胃洗浄廃液検体のコンディションにより抽出できるDNAの量・質にバラツキが発生しえる問題から、DNA抽出は行うものの短時間に定量的遺伝子解析を実現できるPyrosequencing法を採用、良好な結果を得ることができ、2015年4月に米国癌学会(フィラデルフィア)にて、また翌月の5月には米国消化器病週間(ワシントンDC)にて報告することとした。さらに、得られたDNAにはH.Pyloriの混在を簡便に遺伝子レベルで同定できるだけでなく、Pylori菌種の複数混在および薬剤体制株の混在比を解析可能であることが判明した。本法は、胃全体の情報を網羅した「廃液を用いた超早期胃がん遺伝子診断」として画期的な唯一の方法であり、本技術の優位性・応用展開の可能性は高く、先端医療の制度を活用した早期の多施設での臨床展開を行う予定で、薬事申請へとつなげてゆく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初のアイディアである従来のDNA抽出法を行わず直接PCR増幅させる方法を試みたが、胃洗浄廃液検体のコンディションにより抽出できるDNAの量・質にバラツキが発生しえる問題から、DNA抽出は行うものの短時間に定量的遺伝子解析を実現できるPyrosequencing法を新たに採用した。これにより良好な遺伝子解析結果を得ることができ、2015年4月に米国癌学会(フィラデルフィア)にて、また翌月の5月には米国消化器病週間(ワシントンDC)にて報告することとした。さらに、得られたDNAにはH.Pyloriの混在を簡便に遺伝子レベルで同定できるだけでなく、Pylori菌種の複数混在および薬剤体制株の混在比を解析可能であることが判明した。
早期胃がん患者における低侵襲治療は胃を温存できる利点がある反面、残胃における異時再発に注意が必要であるが治療後瘢痕部および周囲の再発を肉眼的に早期の段階で診断することは極めて困難である。本研究で得た解析方法をこのような症例に実施することで、肉眼では診断困難な超早期での診断が可能であるかどうかを臨床試験を立ち上げ開始した。その結果を論文化させる予定である。
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Genome Research
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