研究課題/領域番号 |
25460940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
三輪 洋人 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80190833)
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研究分担者 |
大島 忠之 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00381814)
富田 寿彦 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60388824)
山崎 尊久 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (80648791)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | NERD / 食道知覚閾値 / 電気刺激 |
研究概要 |
我々は、NERD患者ではストレスに対して食道機能が過剰に変化することを証明するため、corticotropin releasing hormone (CRH)投与下でストレスを定量的に負荷し、食道機能(運動・知覚)の変化を経時的にリアルタイムに測定し、逆流性食道炎患者、健常コントロールとの反応性の差から、ストレスに対する個体および臓器応答の差が明らかになり、NERD患者では食道機能がストレスに過剰応答していることを実験的に証明しようと考えている。まず現在行っている内容は健常コントロールでのCRH投与下での電気刺激に対する食道知覚閾値の変化を検討している。食道電気刺激は、High Resolution Manometry (HRM)を用いてLESを同定し、その口側10cmに電極カテーテルを留置し、電気刺激を繰り返してfirst sensation の閾値(ベースライン)を決定する。すなわち7Frの経食道ペーシングカテーテルを食道に挿入し、刺激を知覚するまでの閾値を測定する。電気刺激は日本光電社製SEN-3401を使用し、1Hz の刺激頻度で 200μsec の矩形波の電流を各刺激強度ごとに20秒間ずつ加え、刺激電流として2mA から2mAずつ段階的に増強する。アイソレーター(日本光電社製 SS-203J)を併用することで、カテーテルに定電圧・定電流の出力が可能となり、過電圧・過電流も防止する(最大刺激電流は40mAとする)。任意の時点でCRH (2μg/kg)を被験者に知られることなく静注し、その後電気刺激閾値を経時的に測定し刺激前後で比較した。その結果、CRH投与により健常コントロールでは有意に知覚閾値を低下させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「NERD患者の症状はストレスに対する過剰応答を背景にストレス負荷時に食道機能変化が誘発されることにより生じる」との仮説を、「NERD患者にCRH (corticotropin releasing hormone)を投与し疑似ストレス状態において食道知覚・運動機能が過剰に変化することを実験的に証明する」ことを目的としている。現状はまず主に健常コントロールのデータ収集を行いながらNERD患者のデータも集積している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は更に多くのNERD患者に同様にCRHを投与し、食道機能(食道知覚および食道運動)の変化を経時的に観察し、その程度を健常人と比較することによりNERD患者の症状発現機序を実験的に明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
健常コントロールだけでなく、NERD患者に対してもCRH(corticotropin releasing hormone)投与下での電気刺激に対する食道知覚閾値の変化を検討することを予定していた。さらには、HRM(High Resolution Manometry)を食道内に留置し、wet swallow および dry swallow を繰り返し、ベースラインの内圧パラメターを決定し、健常人とNERD患者を対象にCRH(2μg/㎏)を静注し、その後HRMで内圧変化を測定し比較することを予定していた。しかし現時点で効率的にNERD患者のデータを集積するにあたり時間を要しており、一部物品費用を次年度に使用予定とした。 次年度は前述の研究をさらに推し進め、物品の拡充を図りながらNERD患者に対してもCRH投与下での電気刺激に対する食道知覚閾値の変化を検討すること、さらに健常コントロールとNERD患者において、CRH投与前後のHRMによる内圧変化の検討を行っていく。また新たに食道症状発生に関わる上皮由来因子の検討をin vitroで加えていきたい。
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