研究課題
我々は、NERD患者ではストレスに対して食道機能(知覚および運動)が過剰に変化することを証明するため、corticotropin releasing hormone (CRH)投与下でストレスを定量的に負荷し、食道運動機能および知覚の変化を経時的にリアルタイムに測定し、逆流性食道炎患者、健常コントロールとの反応性の差から、食道のストレスに対する個体および臓器応答の差が明らかになり、NERD患者では食道機能がストレスに過剰応答していることを実験的に証明しようと考えた。これまでのところ、健常コントロールおよびNERD患者でのCRH投与下での電気刺激に対する食道知覚閾値の変化を比較検討している。食道電気刺激は、High Resolution Manometry (HRM)を用いて食道下部括約筋 (LES)を同定し、その口側10cmに7Frの経食道ペーシングカテーテルを留置し、電気刺激を繰り返して刺激を知覚するまでの閾値;first sensation (ベースライン)を決定する。電気刺激は日本光電社製SEN-3401を使用し、1Hz の刺激頻度で 200μsec の矩形波の電流を各刺激強度ごとに20秒間ずつ加え、刺激電流として2mA から2mAずつ段階的に増強する。アイソレーター(日本光電社製 SS-203J)を併用することで、カテーテルに定電圧・定電流の出力が可能となり、過電圧・過電流も防止する(最大刺激電流は40mAとする)。任意の時点でCRH (2μg/kg)を被験者に知られることなく静注し、その後電気刺激閾値を経時的に測定し刺激前後で比較した。その結果、CRH投与が健常コントロール、NERD患者において有意に食道知覚閾値を低下させることが本年度判明した。今後は知覚だけでなく、健常コントロールおよびNERD患者のCRH投与時の食道運動の変化をHRM (High Resolution Manometry)を用いて検討し、NERD患者の症状発現機序を実験的に明らかにしたいと考えている。
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