研究課題
本研究は、核内受容体PXR・CARの症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の病態における意義・小腸・大腸における生理的役割・生体防御機構への関与を明らかにすることを目的としている。本年度は、平成25年度から継続してノックアウト(KO)マウスを用いDSS腸炎モデルでの解析を行った。(1) DSS(dextran sulfate sodium)腸炎による潰瘍性大腸炎モデルでの比較検討平成25年度から継続し、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)モデルである2.5%DSS (dextran sulfate sodium) 飲水による腸炎モデルを作成し、解析を行った。WTマウス、PXR及びCAR KOマウス、PXR・CAR ダブルKOマウスを用いて、DSS飲水による潰瘍性大腸炎モデルを作成した。PXR及びCAR KOマウスはWTマウスに比較し、有意に腸炎が強かった。WTマウスにPXR Ligand (PCN)及びCAR Ligand(TCPOBOP)を投与することにより、体重、炎症、直腸出血などの炎症所見が、有意に改善した。昨年度の解析で、作用機序として、PCN投与によりNF-kBの標的遺伝子の発現が低下していること、TCPOPOB投与はNF-kBの標的遺伝子の発現に関与しなかったが、アポトーシスの抑制を介して腸炎に防護的に働くことが示唆された。今年度は、Ligand投与による腸炎の改善効果を再確認し、組織学的評価を行い、メカニズムの解析を継続した。Ligand投与による腸炎の改善効果は、KOマウスでは認められないことを再確認した。以上のように、平成25年度から継続して、核内受容体PXR・CARによるDSS腸炎(潰瘍性大腸炎モデル)改善効果と作用機序の解明を行った。
2: おおむね順調に進展している
3年計画の2年目である。昨年度に引き続き、ノックアウトマウスを用いた解析を行っている。培養細胞を用いた実験も並行して行い、臨床検体を用いた解析の準備も進めている。
平成25年度、26年度で得られた結果を元に、来年度も計画を継続していく。ノックアウトマウスを用いた炎症性腸疾患モデルの解明、培養細胞を用いたシグナル伝達の解明、臨床検体を用いた遺伝子多型の検討を行なう。
26年度未使用額の27年度への繰り越しは、実験計画を25-27年度の3年間で一連の研究予算と考えて使用しているためで、若干の繰り越しが生じたが、研究計画は概ね順調である。
平成25-26年度で得られた結果をもとに、計画通り研究を進めていく。繰越額は、27年度の物品費や旅費に充てる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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