研究課題
基盤研究(C)
炎症性腸疾患における自己抗体産生機構を解析するために、クローン病感受性遺伝子欠損マウスを用いたモデルの作成を開始した。今回は、我々がクローン病感受性遺伝子の一つとして同定したA20(TNFAIP3)遺伝子の欠損マウスを使用し自己抗体産生モデルへの展開を試みる。将来的な臓器特異的欠損や誘導性欠損マウスの解析を考えて、我々は、A20 Flox マウスを導入した。1、 薬剤誘導性A20欠損マウスの樹立まず、 A20 Floxマウスに薬剤誘導性(タモキシフェン)にCre recombinaseを核内移行できるER-cre Tgマウスを交配させ、誘導性にA20を欠損できるマウスを樹立した。このマウスはタモキシフェンを投与しなければ Cre recombinase が働かない。薬剤投与前のA20Flox ER-cre マウスに表現系がないことをウエスタンブロット、PCR、FACSなどで確認した。さらに、このマウスからリンパ球を抽出し、in vitro でCD3とCD28刺激とともにタモキシフェンも添加して誘導性にA20を欠損させるモデルを作成した。48時間後のリンパ球においてA20が欠損していることをウエスタンブロットで確認した。2、 A20欠損マウスおよび T細胞特異的A20欠損マウスの樹立ER-cre Tg マウスにタモキシフェンを投与しgerm lineにてA20欠損をマウスした樹立し、野生型マウスと交配することでA20欠損マウスを作成した。また、免疫系における活性化が新規の自己抗体産生モデルの作成に必須である可能性も考え、 CD4-cre Tg を A20Floxマウスを交配してT細胞特異的A20欠損マウスも作成した。今後はこれらのモデルを用いてペプチド免疫等から自己抗体産生モデルの作成を試みる。
2: おおむね順調に進展している
マウスの系の樹立に交配がかかり、若干の遅れがあった。ただ、今後必要と考えられるマウスは確立できたことで順調に進展しているということができる。
クローン病感受性遺伝子操作マウスが樹立できたことで、新規自己抗体産生モデルの作成を積極的に行っていく。
試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため。検討する数・種類を拡大して解析を行うため、試薬を増量して購入する予定である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
J Immunol.
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10.4049/jimmunol.1203335
PLoS One
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