研究課題
炎症性腸疾患における自己抗体産生機構を解析するため、昨年樹立したクローン病感受性遺伝子A20のT細胞特異的欠損マウスでの解析を推進した。昨年はA20欠損リンパ球において活性化に伴うオートファジーが抑制されていることを見いだしていたが、本年はその機構を詳細に解析した。A20欠損リンパ球における活性化に伴うオートファジー誘導低下を顕微鏡におけるLC3 punctaだけでなく、ウエスタンにおけるLC-IIの誘導低下においても確認した。その分子機構としては上流のmTORのユビキチン化をA20が制御していることを明らかとした。さらに、mTOR阻害剤にてA20欠損によるオートファジー抑制が回復することをin vitro と in vivoにて明らかとした。また、そのA20欠損CD4リンパ球は細胞分裂を行うことができるが、細胞死を誘導することを見いだした。その細胞死は非アポトーシスであり、ネクロプトーシスであることを明らかとした。ネクロプトーシス抑制剤であるNec1およびネクロプトーシスの中心分子であるRIPK3を欠損すると細胞死が回復することもあきらかとした。RIPK3のユビキチン化部位も同定し、RIPK3のユビキチン化がネクロプトーシスに重要であることを明らかとした。死細胞の貪食もしくは死細胞は放出する分子が炎症および自己抗体産生に関与していることが考えられるため、現在、T細胞特異的A20欠損マウスの長期飼育後の炎症の有無および自己抗体産生を解析し、詳細な機構を明らかにする予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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