研究課題/領域番号 |
25460947
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
堀口 和秀 福井大学, 医学部, 講師 (20377451)
|
研究分担者 |
堀口 里美 福井大学, 医学部, 特命助教 (00595283)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 糖尿病 / 消化管運動 / カハール介在細胞 / 発現解析 / マウス |
研究概要 |
本研究の目的は、糖尿病性胃腸障害の原因として注目されているICC障害の、2型糖尿病における分子メカニズムの解明である。そのため、ICC特異的分子であるKITにGFPを導入したKIT-GFPマウスを糖尿病モデルマウスと交配し、ダブル遺伝子改変マウスを作製する。これを用いてICCを分取し、mRNAを抽出してサブトラクティブ・ハイブリダイゼイション法およびマイクロアレイによりdifferential screeningを行うことが初年度の到達目標であった。 そのため、まず日本クレアより2型糖尿病モデルマウスBKS.Cg-Leprdb/Leprdb/Jcl(db/db)を購入し、KIT-GFPマウスと交配させた。現在交配継続中であるが、研究に必要な個体数が得られるまでには時間がかかることから、これと並行して、本年度は蛍光抗体を用いたICCの単離を行い、網羅的遺伝子解析を先行的に実施することを企図した。db/dbマウスおよび正常コントロールであるBKS.Cg-+m/+m/Jcl(+m/+m)各3匹ずつを用いて小腸を摘出し、粘膜を除去後、筋層をコラゲナーゼ処理(1.3%コラゲナーゼ溶液にて、37℃、20分反応)して細胞を分散させた後、KIT陽性細胞を標識するためPE-抗c-KIT抗体で染色を行った。また、KITはmast cellにも発現しているため、同時にmast cellマーカーであるPerCP-Cy5-抗CD45抗体で反応させてmast cellを除去し、KIT陽性細胞のみをFACSセルソーター(BDFalcon)にて識別・細胞分取を行った。その結果+m/+m筋層におけるKIT陽性細胞の割合は約0.5-0.6%程度である一方、db/dbマウスのKIT陽性細胞の割合は約0.1%程度であり、糖尿病モデルマウスにおけるICCの減少が確認された。単離細胞はRNA抽出用に-80℃にて保存している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に示したとおり、現在網羅的遺伝子解析実施のため糖尿病マウスよりICC分取を進めているところである。初年度中に分取を終えてアレイ解析に出す予定であったが、一個体から得られるICCの数が想定以下であったため、あと数匹ずつからサンプリングが必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
まずICCの単離を26年度の早期に完了させ、網羅的遺伝子解析を実施する。具体的には単離ICCより抽出したmRNAよりcDNAを合成後、サブトラクティブ・ハイブリダイゼイション法により、正常マウスのICCからのmRNAとの差次的遺伝子ライブラリーを作製し、マイクロアレイ化を行う。更に、上記2種類のcDNAから作製したプローブを用いて、糖尿病ICCで発現変化する遺伝子のスクリーニングを行ない、特異的遺伝子(糖尿病DM関連遺伝子と呼ぶ)を特定する。また、同時にマイクロアレイを行って網羅的遺伝子発現解析を実施する。得られたDM関連遺伝子のうち、発現変化量の多い遺伝子について、シーケンスにより塩基配列を解読し、BLAST searchを用いて相同性検索を行うことで対象遺伝子の同定を行う。この解析については研究代表者、分担者ともに他の実験系で実施実績があり、問題なく進行すると思われる。 その結果得られたDM関連遺伝子について、免疫染色法あるいはin situ hybridization法と定量PCR法により検定する。以上の実験から得られた候補遺伝子のうち、ICCやSMCの障害・再構築、あるいは病態時および回復期における両者の相互作用に関与する可能性が高いものについて機能解析を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
達成度の項目に示したとおり、細胞単離が完了しなかったため、予定していた解析依頼が初年度終了時点では行えなかったことにより次年度使用額が発生した。 細胞単離を完了し、26年度の早い時期に解析依頼に出すことで使用する。
|