研究実績の概要 |
本研究では腸管粘膜のバリア機構を増強し、炎症反応制御に深く関与しているIL-22がIELより産生され小腸における難治性潰瘍性病変の粘膜防御機構に関与しているかどうかを評価する。具体的にはマウスより単離したIELがIL-22を産生するかどうか、またIELより産生されたIL-22が小腸上皮細胞(Intestinal epithelial cell:IEC)に作用し、innate immunityの増強がみられるか検討する。平成26年度はマウスより小腸粘膜を単離し、IL-22の刺激にて小腸粘膜においてSTAT3が活性化されることが確認できた。現在、マウスよりIELを単離し、RNAレベルではIL-22の産生が確認できたため、どのような刺激で蛋白レベルでのIL-22の産生が増強されるかを確認している。平成27年度はin vivoにおける小腸でのIL-22産生調節機構と小腸上皮細胞に対する粘膜防御機構への関与を検討するため、インドメタシン誘発性マウス小腸傷害モデル(Fukumoto K, Int J Mol Med, 2011)の系を確立した。平成28年度はIL-22強制発現ベクターを作成し、もともとIL-22産生能を有さない培養細胞にIL-22強制発現ベクターをtransfectionさせ、その培養細胞がIL-22タンパクを強発現することが確認できた。現在このIL-22発現ベクターをマウスの小腸粘膜にtransfectionさせ、小腸粘膜局所でIL-22タンパクの産生を誘導することができるか確認中であり、確認出来次第このベクターをインドメタシン誘発性マウス小腸傷害モデルの小腸粘膜局所にtransfectionさせ、STAT3の活性化を通して小腸の粘膜障害を改善させられるかどうかを確認する予定である。
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